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2006年1月19日の1件の記事

2006.01.19

「庶民の焼肉アテンダー」1/19/06

 ステーキハウスみたいな長い帽子をかむったおっちゃんが、ナイフと磨ぎ棒をシャンシャン言わせるパフォーマンスなんて要らない。白い紙エプロンはたまには欲しいけど、黒いタイトなスーツを着たさらさらヘアーのウェイトレスやボーイも要らない。「肉」を食べるということは本能に従ったいわば食のセックスみたいなもの、とかねがね思ってきた僕だが、かといって東京のお好み焼き屋みたいに客が勝手に七輪や鉄板で腕を振るうかのような実は単なるバーベキューの如し、というのも店としての芸がまったく無いので金を払う意味さえ疑問に思ってしまう。

 そこで、あくまで庶民レベルが行く店で、ちゃんと店としてのホスピタリティと精度の高い味やレシピを持つところは無いのかと、ほぼ諦めの境地でいた今日この頃。東京のとあるデザイナー君から「お前の事務所の近くに実に魅力的な焼肉屋があるらしいぞ」という、殆どマサカ・・・な情報が飛び込んできた。

 別段、大阪で「美味い、安い、メニュー充実」な焼肉屋はあまりにも常識的で、たとえそれが本場と称される松阪であろうが飛騨であろうが、新宿であろうが、なんてことないと思っていたので、東京デザイナー君がいくら口コンでくれてもあまり期待をしていなかったのが正直なところ。

 が、しか~~~~~し!今回だけはコカコーラの宣伝以上に、松井のライトスタンドグランドスラムよりも、おまけに真夏の温泉後のスーパードライよりも、存分に爽快に裏切ってくれたのであった。
 場所は当仕事場から近く(昨夜の計測では徒歩70歩)で、7~8階建てほどもあるのに間口が3mか4mしかないといった異様な細長いビルの1階にある。だが、こいつがなんだか、ブロック塀のどこか一ヶ所が欠けたようなところにあるというか、発見するのはとても困難な窪みの奥にあるわけで、我が仕事場のテラスから丸見えのはずなのに、やっぱりそんなところじゃ見えるわけないがな、な位置。一辺が40センチほどの小さな赤い看板だけが目印なのだ。漢字二文字の店名のみが記された看板。

 でもって店内もなかなか狭い。カウンター7~8席、テーブル3卓。それぞれ小さめの椅子だし、隣の客と肘が当たるような感覚である。で、奥のテーブルは予約席になっていて、手前二つが空いていたが、気を憚る僕とカミさんは、カウンターの奥から2番目と3番目の席に着地。1番奥はオッサンが一人で、入り口側では同伴丸出しのおっちゃんと金髪のネーちゃんがいた。

 しかし、ここのおかんが実に焼肉屋らしからぬ爽やかな笑顔で、「どうぞどうぞ、上着はあの奥にかけられまっさかいに」と言ってくれて、その横から娘さんかもしれない25歳前後の?普通の女の子が「飲み物はどうします?」と聞いてきた。目の前に冷蔵庫があり中にはホッピー、チェリー?ビール、ほかいくつかの美味そうなヨーロッパ系と思えるビール、その横の棚には焼酎がずらりと並び、よく見れば奥に「魔王」や「伊佐美」など通好みなものもおいてある。
 我々は最初、直感さわやかにスーパードライではじめ、そのあとホッピー割りに流れ込む。さて、肝心の食メニューだが、このラインアップが素晴らしい。レギュラーメニューには一般の赤身をはじめ、赤セン、生セン、各ホルモン、ウルッテ(他店ではウルテと書かれることが多い)、各漬物(キムチやチャンジャ)など。でも、よく見れば「塩アゴ」「ネリガエシ」「ツラミネギ」などといった聞きなれない物もある。

 で、ここからがこの店の実力の店どころ。この日はたまたま暇ということもあってか、先述のおかんがつかず離れずの間合いを持つ人で、見てないようで見てる、注文や質問の隙を客側に与えつつも、絶妙な距離感をもっており、こちらが普通に顔を上げても無視するが、何かいいたくなるとその空気をすばやく読み取り、ふわりとなんとなくこちらに意識を傾けてくれるのだ。よって、我々はなんでもかんなでも尋ねまくっては、結局、最後まで目の前でおかんが肉も焼いてくれることになるのであった。
「ネリガエシというのは咽喉の筋肉のことやわ。あと今日のお勧めでええシマチョウもあるしね~。何でもいうて~」と実に上品で物腰が柔らかい。
「アゴはまさしく牛のアゴ肉やね。牛は大きいんやねほんまに。これだけの厚みがあるんやもん」なんて言いながら、色んな肉を僕らの目の前にあるガス台で丁寧に焼いてくれる。
「この肉はね一見普通の赤身やけど、お酒を飲む方なんかはハマる方が多いのよ。噛み応えが生のビーフジャーキーみたいやゆうてね」
 しっかりとこんがりと焼かれたそれを頬張ると確かにしっかりとした筋っぽいコシがあり、くにょくにょ噛み締めていくとこれまた本当にビーフジャーキーのような濃厚な味が出てくるのだ。あ~こりゃうまいわ!

 ほか、「ゲタバラ」といわれる、腹肉の中でも中オチ部分の最も骨に近い部位を差す肉もオーダー。これがまたシコシコとした歯応え、程よい脂分の甘味でほかとは違った感覚が楽しめる。この後、我々は白飯小サイズ一杯、やや甘口で飲べえサイズのキムチャーハン、丼に入ったわかめスープなどを注文。Uuuuups・・・大満足だ。
 すべてにいえるのは、昨今の焼肉屋にありがちな、ただひたすら「濃厚味街道を行く」ではなく、引き際が肝心のギリギリのメリハリと、ほどほどの旨み系成分の加減が素晴らしいのだ。よって、食って満腹なのに、中性脂肪と尿酸値が高くとも、「こりゃまた来れるな」と思うほどの、おかんと肉の味付けの庶民ギリギリの上品さなのだ。

 さらにメニューは基本価格帯が400~900円くらいか。わかめスープは350円であった。二人してビール一本、ホッピー1本、焼酎2~3杯が加わって8500円ほどだった。ここでもまた高くも安くも無いギリギリさ。にくいね~。
焼肉屋らしからぬ微妙なつかず離れずのサービス、そして各部位を上手に焼いてくれたり気さくになんでも教えてくれるおかん。これは1食1人1万円以上確約のステーキハウスやスキヤキ屋、逆に安くみえるようで実は単なる手抜きバーベキュー屋のええ加減な大衆肉屋などとは一線を画した店であることは間違いない。

 実に中途半端で特長のない町・西中島と今まで思ってきたが、最近は少しずつこの町の本当の凄さが伝わってきた。

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