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2006年7月5日の1件の記事

2006.07.05

『108回目のプロセス』7月5日

これ、またカレー作りの話。
実際には10年ほど料理を仕事の中心としてきた中で、
カレーにコミットした時間はおそらく6~7年でしょうから、
1日1品で年間300日とすれば1800回以上。
その中で3年間は1日に3品を年間300回はやってますので、
ざっと2500回くらいはカレーを作ってきたはずです。

しかし、問題はどれだけ味や材料、作り方のクリエイトをしてきたか。
これとプロであることはあまり関係がないです。
もちろん、素人の思いつきや料理自慢の世界とは別の次元の話です。

ただ、何千軒の店、何百もの方々を取材してきて思うことは、
殆どの店やそこで働く人々というのは情報が実に少ないということ。
情報とはネットやテレビで得られる言葉だけのものではなく、
体験や感覚から生れ、またそこにつながるプロセス的な情報のこと。

店を経営する、または店で勤める、ということを一所懸命にやればやるほど、
凄く狭いが狭くなるんです。

これは僕の目からすれば実に一長一短な世界。
当然、職人の世界というものはそのようにすり鉢の底を掘り続ける世界なワケで、
そこを掘りきると今度は色んな世界と共通する哲学や理論、すなわち「悟り」の境地があると思いますが、少なくとも僕のような気弱で不安ばかりの人間には到底耐え切れないものです。

よって、早い話が余所さんの手法やお味、他人の目や頭というものを、この10年以上もの間、ライターとして見聞する旅をしているのだと思います。で、自分流の道で見えてきたことがなんとも不思議なもので「自信」というやつです。余所様の、いいところ、悪いところを体験させてもらえばもらうほど、ひしひしと感じるのが自信。僕はほんとう怖がりですから。

というわけで、単に同じ味を作るとか、今の自分の味を信じるとかじゃなくて、自分に出来ることは何かというと、やっぱり色んな挑戦をすることなんです。いいかえれば研究という世界でしょうか。

そこで適当に108回目のプロセス。
ようやく、ようやくです。今の自分の体験やインプットされた情報をテーマとしたカレーが出来上がりました。
最初は、今の時代に合わせて、とにかくあたかもカレーという無難な領域の中で、執拗なまでにウマミをボアアップしたものを構築してみたのですが、これがまたまた不思議なことに、ちゃんとした作り方(正しいスパイスの使い方)をすればするほど、付け加えようとするウマミのせいで、味が曖昧になっていくんです。

つまり、ほかとの違い(今で言う個性)をだすためには、そこからプラスアルファ方式で物事を考えていくしか道がなくなるわけです。よって店によってはコーヒーやチョコレート、生クリームにこだわりのバター、豚骨、豚頭、鶏がら、拳骨t、煮干、昆布、カツオ、中国系の調味料などと、もう塗りたくって何のこっちゃわからん油絵みたいになるほかない。これ、いわゆるイマドキの考えかただし、この延長線の味がウマイとされる価値観になってしまってる。

僕の場合はそのまったく逆なんです。以前、テレビ番組の構成をしているときに小林カツヨさんもおっしゃってましたが「これからは引き算の料理が出来るかどうかの時代」ということを、僕も同感しています。

幸せってなんだっけ?みたいなもんで、0の位置にまずは戻ることが必要。特に味の世界はそうではないかと思うんです。それはノスタルジィや懐古主義の意味ではなく、まず0に戻れる自分があるかどうか。

そこへ戻ると今の自分だからこそ見えてくるものがきっとあるはず。物を作り出す人の多くは、この自分の中の0地点というものを持っていました。僕も本能的にそうなりますが、これが社会での競争やエゴに浸かれば浸かるほどなぜか戻れなくなるからけっこう大変なことだと思います。

話をカレー研究に戻します。これはもちろん、競争原理からくるプラスアルファ主義でも、逆に求道主義でもない世界。自分にとって本当に食べて嬉しくなるもの、それを皆さんもきっと食べたいであろうと思えるものをプロとして構築しているだけのことです。

結果的には加えるウマミというものはないほうが、自然の旨味を感じることが出来たわけです。そしてその自然の旨味というものは、ある一定のルールのなかでちゃんと丁寧に技術をほどこしていかないと、機嫌をそこねてしまって顔を出してくれなくなる。だから、毎回ちゃんと向き合って丁寧に、ちゃんと体得してきた力を出し切らないとダメ。そこが憎いし、疲れるし、やりがいがあるところ。

そうやって、素材の状態を理解し、そのルールを守ったところで独創に独創を重ねていくと、ただ美味いだけじゃなくて面白味が生れてくる。そう、それこそが僕の思う個性です。

いつまでも皆さんにお話しするばかりでは申し訳ないです。
ほんと、一日も早く公共の場で提供できる日がくることを祈っております。

あ、とりあえず今月の23日は三重県松阪市でカレー講習会がありますので、近郊の方はぜひいらしてください。
なにやら同じ日に三重のガイジン祭があるらしく、そちらにも呼ばれていますがこれは行けるかどうかわかりまへん。いかんせん夜は夜でカフェ・ハンキードーリーにて、ミュージシャンKajaとのライブコラボレーションがありますし。

とにかく、今朝食ったカレーは今まで出一番美味かった。こう思えるカレーをいったい何回作り上げることが出来るだろうか。一応、これからも進化はやめないということで、今回のお話は終わります。

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