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2010.02.19

いろんな「カレー」

この2,3年、特に東京を中心に南インド料理店が急増しているようですね。もちろんもっと前からやっている店もあるのですが、それらの殆どは途中で北系(ナンやチキンなどのタンドール料理やクリーミーなカレーなど)メニューを加えるなど、とにかく南インドのままやっているところは皆無に等しい。

それがいまは本当に南インドのまま走り出すことができている模様。店の経営状態までを知るよしはありませんが、僕個人はとてもありがたいしうらやましくも思っています。

南インド料理はシンプルで毎日でも食べることができるから。僕はほぼ毎日家でも仕事先でも友人の店でも作っては口にしていますが、本当はやっぱり店を構えたい。

以下の写真を見て三重の人は松阪のTHALIを思い出すかたも少なくないかも。あの時代、やたらとわけの分からない料理ばかりを作り続けていました。でも僕がそれを南インド料理と知ってやていたのは10%程度しかありません。最初にある程度形になり出したのは90年代初頭のことです。本も見ましたが、確かレヌアロラさんの本くらいしかなかったような。

それ以外はぜんぶ古本屋を回って見つけた、昭和中期辺りの科学系かヨーガ系の本の一部からヒントを得たり。

またスパイスを仕入れるショップに相談したり、当時すでに神戸にあったインド系の問屋に教えてもらったり。

さらにまだ少なかったですがインド料理店の存在はやはり大きかったです。当時の店はみんな北系で、中には南出身のコックがいたりすることもあったのですが、とにかく日本で受けるのはゴージャスな北系だと、僕がどれだけ提案しても受け入れてくれなかったんです。

彼らはまかないでは、南の料理を食べたりするくせにね。またそれが優しく美味いの何の。実に日本人好みの素朴な味ばかりだったんです。で、いつのまにかその料理法の在庫が増えていった。

松阪時代、僕は他店との違いを誇張したり、世に広めようなんてこれっぽちも思っていなくかったですから、本当何を作っても町からは「変わったカレー屋さん」「本格的なカレー屋さん」と呼ばれ続けました。

それがカレーでなければないほど、みんなは困ってました。ただ、いろんな人が来ていましたから、中には「ターリ屋」とか「ミールスさん」と呼ぶ方もいたりして、聞いているこちらも面白くてしょうがない。

でも、商売的に見ると、やはりこれほど難しいものはなかったです。この南的料理のことを僕は「スパイスと素材だけでつくるスパイス料理」という言い方をし続けているのですが、それがなんであれ、どれだけファンが育ってくれても、やはり根本的な問題がありました。

それは値段と手間の割がどうしてもあわせられないということです。当時、毎日4,5品、多ければ6,7品の料理をしていましたが、朝は8時頃から仕度を初めて、昼の営業の後半から再び仕込みを初めて、そのまま夜になだれ込み、客の相手をしながら閉店時間になっても洗い物さえする暇がないという恐ろしい状況でした。

だからちょっとでも疲れがたまると、笑うことができなくなる。料理の数は減らせても最低4品は確保しなければならないから必死のパッチです。そりゃどれだけ途中で中華屋に変えようかと思ったか分かりません。

これだけやってもやっぱり「カレー屋さん」と呼ばれているわけですから、1人前1000円を超えることは不可能なんです。ええ、ここでみんな間違えるのは「根性なし」とか「自分を信じるべきだ」とか「自分に嘘をつかないこと」などというのですが、そういう次元じゃない。

喧嘩するくらいなら簡単なんです。実際日々語れないことを繰り返して10数年がたっていたわけですから。問題は客が来なくなるということ。ええ、金がなくなるわけです。そうでなくても給料1万円くらい生きているのに、それ以下になると、光熱費、家賃が払えない。何度供給先に頼み込んでも仏の顔も三度までというのは本当の話です。

行政も土建屋もみな同じ。一番うざくおもわれがちな大家がだいたいは最後に泣いてくれてましたね。だからいままで何人かの世話になった大家さんには感謝しています。

あ、いけない。つい自分の話の没頭してしまいましたね。

ね、うまそうでしょ?みなさんもどこかで南インド料理の看板なんかをみたらぜひトライしてみてください。

きれいな写真は友人のインド人嫁のメシ。もう一枚のぶれているのは東京大久保の店です。

Thali Okubo

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