Recommended book

  • 『絶対おいしいスパイスレシピ』出版社サイト☆送料無料!
  • 『絶対おいしいスパイスレシピ』Amazon
  • 『山海の宿ごはん』(全編カワムラ取材)2005年あまから手帖ムック
  • 『カレー全書』(柴田書店)*送料無料!

カテゴリー

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 【スパイスジャーナル】次号vol.17の特集予告! | トップページ | 『十三トリスバー』2代目店主 江川栄治(前編) 【職人味術館】再録 »

2015.01.16

あらためて親父にありがとう。(長文)

我がスパイスジャーナルのお別れ会(1月末発行予定のvol.17で休刊)をHさんが開いてくれました。と言っても2人だけの新年会のようなものでもありますが。

Hさんは今は亡き僕の父親の元部下で某社の宣伝事業部を勤め上げました。昭和16年生まれとのことなので、親父より6歳下。ま、昭和40年生れの僕からすれば親父と同じようなものですね。

待ち合わせたのは大阪北新地の「十三トリスバー」。

最初は、なぜスパイスに特化したのか、その魅力は何か、という質問から始まり、あの号のこの話が面白かった、この号のここは斬新だったなどとやがては評価へと話題は流れていきました。

某社は現代のような外注ではなく、ほぼすべてを自社制作する会社で、Hさんは主に言葉の分野を担当していたと聞きます。定年退職後も日本のCM業界に関する各所でご活躍されており、日本で名高い協会の殿堂入りもされています。

そんなHさんから色々と突っ込まれたり評価を頂いたりするのはとても光栄でした。またなんだか親父から言われているような感覚もあって照れくさいやら嬉しいやら。

で、やっぱり話はだんだん僕の親父のことに流れていきます。そう、僕は殆ど親父のことを知りません。

亡くなったのは僕が中学に入ってしばらくの頃ですが、とても忙しい人だったし、週に1度か2度家で見かけることはあってもちらっとその背中を見るだけで声をかけることもできませんでした。

この世を去ってからも、髪を振り乱して働きまくるお袋を悲しませたくない一心で僕と兄貴は全力で生きてまいりました。この時分に、僕は人のためにできることはアホでもいいから元気に生きること、と思うようになりました。

初めて父の死を心で受け入れることができたのは、逝去してから15年ほどが経ってからのことでした。

元々お袋は前向き症候群(僕が名付けた病気みたいなもの)という性質もあって、自分の素性さえも語りません。

だから僕がお袋の生れた町を知ったのはなんと今から2年ほど前(笑)。

このように、つまり僕は父親の存在感が殆どないまま育ちました。それは生き分かれや不在がちの存在感のなさとは別次元の、諦めとか挫折とか、そう、不可抗力からくる感じてはいけない闇のゾーンともいえます。

で、今から10数年前に何の因果からか僕は十三に住んだのでした。

そしてこれまた何の縁か町興しを手伝うことに。とある商店街のお寺の住職に気に入られまして、一応最若手ということもありなにかと声をかけてくださるようになりました。

するとあるとき、同じ町興し隊のメンバーに元某社の宣伝事業部出身者Kさんがいて、寺の住職から紹介されたんです。

で、これが驚くことに、なんと親父の元同僚であり、さらには僕の名前の由来になった人だったのです。

何かに操られているような不思議な感じでした。
それまでどれだけ親父の生き様を知りたかったことか。でも、お袋のこともあるし、僕らは何も知らないので調べようもないしで、もうとっくの昔に諦めていました。

こうして過去に葬り去った親父の匂いが、予期せぬ場所とタイミングで浮上してきたのです。

やがてKさんはHさんを連れてきて、僕はお名前だけはなぜだか知っていて、だんだんと親父の生き様を耳にする機会ができてきたのです。

こういう縁が十三で生まれ、その当時から「十三トリスバー」へも何度か足を運んでいたわけです。
(*2014年3月十三ション弁横丁が火災に遭いトリスバーも全焼。同年9月北新地にて復活を遂げる)

昨日はスパジャーの労い会のはずが、気がつけば親父の話題で持ちきりになってしまいました。

僕は酒が弱いのでそろそろお開きにしようということで夜10時頃に店をでましたら。ふとHさんが言うのです。

「実はあなたのお父さんも通ったバーがすぐそこにあるんですよ。でも今日はやめておこうね」

いやいや、あと1杯くらいなら飲めます。ぜひ行きましょう!

そこは地下にある静かなオーセンティックバーでした。奥に細長く、無数のボトルを従えて太いカウンターが一本ばしっと走っています。

Hさんが僕のことを紹介してくれました。

するとマスターの口から衝撃のひと言が。「あぁハジメさんね、よくいらしてくださいましたよ。うちのお酒をこっちの端から全部飲んでやるなんておっしゃいましてね。だいたいは代理店の方と一緒でしたね」

身内や某社のOB以外から親父の名前を聞くのは生まれて初めてです。

そうかぁ、親父にも社会というものがあったんだ!と感激してしまいました。

当たり前でしょうけど、僕にとっては「親父=会社。たまに静岡の安倍川もち」というイメージしかないですから。

もう嬉しくて嬉しくて、今にでも涙が溢れそうになりました。

ここでHさんから昔話をたくさん聞かせていただき、また僕も酔いに任せて図々しいことを一杯言わせていただきました。

親父がこの世を去ってもう35年以上になりますけど、よくぞお名前やエピソードを覚えてくださっていたなぁともうたまらない気持ちです。

僕にも親父がいたんだ!そう、僕にも親父がいたんだ!と帰路ずっと1人で胸の中で叫びました。

とても有り難い労いの会でした。

ありがとう、親父!

Barkimura1 Barkimura2

« 【スパイスジャーナル】次号vol.17の特集予告! | トップページ | 『十三トリスバー』2代目店主 江川栄治(前編) 【職人味術館】再録 »

プライベート」カテゴリの記事

club THALI Twitter

  • club THALI Twitter

club THALI

フォト

カワムラケンジのプロフィール

Spice Journal(カワムラケンジ) Facebook