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2018年7月8日の記事

出版記念イベント③『星月夜』7/6

5日の『月の庭』ノンベジ・スパイス料理教室の後、6日は愛知県犬山市の『星月夜』‪へ‬。

こちらは雑穀・ベジ(ノンラクト)の食事とスイーツを提供するレストランで、ご主人の加藤俊介さんがシェフで、奥様の里奈さんがパティシエです。

ほか、何事も一所懸命に取り組むメグミさん、手相を見れるシッシー、クノイチの異名を持つマツバさんなど、スタッフもめちゃくちゃ個性的で魅力的な人ばかり。

なんでこんなにいい感じなのかというと、やはり加藤さんご夫妻の人柄そのまま生き写しなんですよね。一言で言うと、今を楽しむ、人と分かち合う主義で、勝ち取る、巻き込むなどの競争主義じゃないところ。

ご主人は元々料理人であるけれども、‪一時‬はすべてをすてて農業の修業に出た経験を持っています。今でも家の周りの田畑に米や野菜、ハーブを栽培して、店でも使っているよう。なので周囲にも農業や漁師の友人知人が多く、質の良い素材がおのずと集まってきます。

奥さんの里奈さんは最初は陶芸に取り組んでおられたはずですが、開業してしばらくしてからスイーツ担当に。で、これがまた美しいの、ドラマティックの、うまいの、癒されるので、ほんとこれこそ半端ない。陶芸ならぬ糖芸家ですね。

今回はこの3人によるディナーでした。

いろんなチャレンジがありましたが、最も壁だったのは素材です。

普段の僕は、家ではインドでいうところのラクトベジが根底にあります。ラクトとは乳製品のことで、チーズや牛乳、バター(ギー)などをじゃんじゃん使います。

でも『星月夜』は元来ベジ(乳製品も使わない)スタイル。この壁をどうするか。いろいろ知恵を出し合いました。

なかなか内容が濃いので、メニューを追いながら説明します。

 

●7月6日メニュー

コースおひとり5000円(ドリンク別)

A.前菜:スパイシーサラダの共演

 1.スプーンで食べる赤いサラダ
 新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』P92アレンジ。カラチャナ使用)。俊介氏からの提案「タマネギブイヨンで作った豆乳ホワイトソースとシイタケブイヨンでいかがですか」。本来はココナッツミルクと生クリームを使う部分。想像を絶するうま味の重層にびっくらこいた。

 2.「キャベツとココナッツ」
 前著『絶対おいしいスパイスレシピ』P50アレンジ。南インドのポリヤルがモデル。アクセントとして通常はダルを、本書ではピーナツを使っていますが、今回はカシューナッツを使用しました。

B.オードブル盛合せ:3色のベジとバケット

 1.「チャナパテ」
 新刊P80アレンジ。マスタードシードと鷹の爪を炒めたオリーブオイルがけ。イメージはトルコ料理のフムスにちと近い。

 2.「インド風ウェット&ドライな野菜カレー」
 新刊P99アレンジ。マッシュをしてさらに水分を飛ばして固めたもの。青唐辛子ミックス。

 3.「田楽ジェノヴェーゼ」
 新刊P99アレンジ。本来は木綿豆腐ですが今回は焼き豆腐を使用。バジルの分量を控え、ベスン粉を加えて固めたもの。


3色のベジとルバーブ酵母バゲット
Photo by あおいとりとひなぎく

 俊介氏からの提案「僕らの大のお気に入りのパン『ソイトビオ』のバケットをぜひ。ルバーブ酵母で焼いているんです」。食べてみるとこれがたまらない。中はしっとり。小麦の香ばしさが滲み出てきます。こんな優しくて香ばしいバケットなら毎日でも食べたいって!


Photo by Hosizukiyo

C.メイン1:自然農ナスのソテー コルマソース

 本での掲載はなし。1998年『THALI』(三重県松阪市)時代の技。俊介氏からの提案「自然農法で育てたナス3種をぜひ」。賀茂ナス、地産の大長と中長、それぞれを違う調理法で。コルマとは北インドのカシューナッツをベースにしたカレーの一種。しかし、これをカレーとしてではなく、あくまでナスが主役のソースであるところにこだわりました。


自然農ナス三種のコルマソース
Photo by あおいとりとひなぎく

D.スープ:マスール豆と季節野菜の梅スープ

 本での掲載なし。本当はここでタマリンドのスープをと計画していたのですが、なんだかんだで『星月夜』で漬けている梅を使わせていただきました。とてもフルーティーな梅でした。俊介氏からの提案「栗かぼちゃとにんじんとトマトなどいかがですか」。カボチャは甘い、ニンジンはごつごつ、トマトは大小粒ぞろいで皮が固くてフルーティ。すべて自然農によるもの。

E.メイン2:サブジクリームのショートパスタ

 新刊P77から。もちろんカワムラ創作。インド料理のサブジをクリーム状にしたらこんな感じ的な。カワムラ流はココナッツミルクと生クリームを使います。俊介氏からの提案「タマネギブイヨンと豆乳のペシャメルソースをあわせたホワイトソースとシイタケブイヨンどうでしょう」。これが想像以上にうま味の重層でびっくらこいた。仕上げは『KURATA PEPPER』挽き散らし。

クラタペッパーとはカンボジアにある日本人の胡椒メーカーです。もちろんオーガニック。我がスパイスジャーナルvol.14、ネット連載の「職人味術館」でも密着取材させていただいたことがあります。当日、クラタペッパーの奥様もお越しいただいていたこともあり、このように考えた次第です。

Photo by Hosizukiyo

F.スイーツ:クルフィとフェンネルのsoyチーズケーキ

 『星月夜』里奈さんの力作です。クルフィにはグリーンカルダモンを、チーズケーキにはフェンネルの花をあしらっています。ちなみに花はフェンネルをより上品にした爽快感があります。

 with フレッシュハーブウォーター(詳細は忘れたけど爽やかでおいしかった!)

Photo by Hosizukiyo

創る際には顔と口を出していたのですが、数がぎりぎりになってしまい僕と俊介氏はスイーツを食べずじまい。お客様方々の嬉しそうな表情を見るだけで満足とさせていただきます(笑)

このような多様な withスパイス料理 こそ、今までの自分の集大成と言いますか、多様な現場で生きてきた中で自然と出来上がっていったものと言いますか、こここそがカワムラケンジなのだと自分でそう思っています。

『星月夜』の加藤夫妻、スタッフのみなさん、そしてお足元が悪い中をお越しいただけたお客の皆々様、素晴らしい機会を設けていただきありがとうございました!新しい学び、新しい感動、そして新しい出会いに感謝で一杯です。

またお会いできれば幸いです。
なんだか泣けてきた~!

出版記念イベント②『月の庭』7/5

昨日、愛知県犬山市から大阪吹田へ戻ってまいりました。
そうそう、帰りの名神高速では数え切れないほどの自衛隊のトラックを目撃しました。

上部は戦車?下部は鉱山開発なんかで見るような巨大なタイヤが4軸の最低でも8つ、もしかしたら16個のタイヤをはいた巨大なトラックです。その戦車的上部から二人の隊員が首を出し、周囲を見渡しては指をさして、無線機で何か大きな声で話しているんです。

なんだかめっちゃ格好良く見えた。こうして我々は、知ってる人だけじゃなく、見知らぬ大勢の人たちのおかげで今を生きれているんだな~。

このたびの大雨災害により犠牲となられた方々にお悔やみ申し上げます。また被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

僕が住む大阪北部も、地震後の地盤の緩みに警戒するようにと叫ばれています。明日は我が身かもしれない。あらためて今をしっかりと噛み締めながら生きていこう!

とはいうものの、やっぱり自分の現実はいつも騒々しくて、ミスだらけで、こけまくりのすってけどっこいなのでありまする。

5日の朝もそうでした。いつもはカミさんを二駅離れた職場まで送り迎えしていて、僕の出張時などはタクシーを使ってもらうようにしているのですが、4日の時点ですでに雨が酷くて予約不能。

結局、この日も僕が送ることになり、普段よりも30分早く、予定よりも15分遅れの、‪朝7時15分に‬家を出ました。すると家を出て3分もしないうちに大渋滞。普段なら10分のところを30分もかかってしまい、吹田インターに入ったのは‪8時頃‬に。

そして‪9時40分頃‬、『月の庭』に到着。教室は‪10時から‬です。ダダッーと荷物をおろして、岡田佳織さんががつがつと動いてくれたおかげでなんとか‪10時‬過ぎにスタート。

で、いつものことと言えばそうですが、この日は特にぶっ飛んでいるせいかアドリブ幅が格別に大きい。そして皆さんもガンガンと突っ込んでくる。

「せんせ~!レシピに書いてないものがはいってます!」
「順番が違ってますよ!」
「そんなスパイス書かれてないんですけど!」

「まぁ~雰囲気ですよ!スパイスの使い方って確かにルールはあるけど、その時の感覚で変わっていくもので。音楽だって同じじゃないですか。楽譜と演奏って言うのかな。ライブって色んな事があるから面白いわけでっ。あははははっ!」(カワムラ)

こんな感じで、みなさんと一緒に手を動かして、たくさん話して。最後は「おいしいね!楽しいね!」で実に健康的に終わっていくのがカワムラケンジ×『月の庭』‪の特徴です‬。

『月の庭』は岡田佳織さん主宰の食のアトリエのような場所。かつては雑穀・ベジレストランをされていて、今はご自身を中心に、たまにゲストなんかを呼んでの料理教室も。

ここで現在、もっとも岡田佳織さんに近い人物が、ラクトベジ・インド料理研究家の、こぴら、という女性です。彼女の面白さったら半端ないです。だって彼女はインドに在住していたことがあって、寺院に入り込んでヒンドゥー教徒になってしまったような人。

料理については、もう言わずもがな、ですよね。気さくで素直で、人にも自分にも誠実に接しているような人だから、きっとそういう料理だと思います。

教室を終えた後、こぴらとずっと話してました。それで、彼女がネパール高地の山椒の実をくれる。これが今まで感じたことのない程の鮮烈なフルーティな香りでまた大盛り上がり。

僕は3年前にネパール山中で天然山椒と出会い、あちこちで料理も体験。今から愛知県の『星月夜』へ行かなきゃならないのに、つい時間が飛んでしまいました。

もう、自分ら面白過ぎるって。

●7月5日のメニュー

1.「鶏と万願寺のガラムマサラ炒め」
新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』(幻冬舎2018.6)P79より

2.「クミンライス」
新刊P33より。『ヒフミヨイ農園』の自然農・香り米を使用(とてつもなくうまい!)

3.「サバの水煮缶・南インドカレー」
料理監修『カレーの便利帖』(晋遊舎2018.4)P35アレンジ

4.「キャベツとココナッツ」
前著『絶対おいしいスパイスレシピ』(木楽舎2015.6)P50アレンジ

5.「ペパーポークマサラ」(試食のみ)
料理監修『カレーの便利帖』(晋遊舎2018.4)P24アレンジ

参加料…4500円

Photo by Kenji Kawamura
こぴらがくれたネパール高地の超フルーティ山椒

Photo by Kaori Okada
『月の庭』の裏側に同じ岡田家経営の『岡田屋本店』がある。前に道は旧東海道でこちらが本当は表通り。他にはない希少な食料品セレクトショップ。

出版記念イベント①『ハンキ―ドリー』6/28

『ハンキ―ドリー』とは三重県松阪市にあるカフェであり、ライブや曲芸?などしばしばイベントも開催しているカルチャースポット的な店です。

店主の多賀尚さんは僕が『THALI』(ターリー。1998~2001年。三重県松阪市)をやっていた時からのお付き合い。

1998年当時、僕は大阪にも東京にもない、日替わりのベジとノンベジのターリーというインド式の定食の店をやっていました。

その頃はインド料理と言えば、まずカレー、次にタンドリーチキン、そしてナンと言うのが根強い常識で、それを払拭したくて「ターリー」という言葉を屋号にしました。

ターリーとはインドの言葉で定食とか、それを載せる皿のことを指します。その頃の日本のインド料理店でターリーを置いてる店は少なく、あっても2000円や3000円もする高価なものでした。

でも、90年代前半から大勢のインドやネパールなどの人たちと公私共に交流のあった僕は、彼らが日々食べているまかないや家の食事のようなインド料理こそ日本人が好むものだと確信。

確信に至った大きな理由のひとつが、ヘルシーだったことです。食べるほどに通じはよくなるし、いつもお腹は温かい感じだし、肌がつるつるしてくるし、そんな風に体調がよくなるもんだから。

ただ、その感覚はなかなか人に伝えるのが難しい。その時からカレーを食べ歩くことで頭がいっぱいの人も大勢いました。

「僕は誰よりもうまいカレー屋をたくさん知っている」「私は誰よりもカレーが大好き」な感じの人々。もちろんあちこちを食べ歩くのは自由だし、僕もあちこちいくし。でも、勢いがある分、なかなかこちらのメッセージを素直に受け取ってはくれない。

個人でもコンピュータを持ちだした時代で、すでにホームページを立ち上げて、食べものの話を書いている人もいました。あきらかに東京なんかよりも、その辺のことは敏感だし、動きが早かったのが印象的です。

その一方で、究極のインド通の人もけっこう多くいらっしゃいました。インド通っているんですよね。近所にとてつもない人が。

よく覚えているのは、30年近くインドに2,3回仕入れに通い続け、ヒンディ語もそこそこ話せちゃうようなインド雑貨商の方。そしてインドに1年住んだことのある純粋なインド好きの方。中にはとにかくカレーを食べ続ける会(関東)とか、赤坂タージに何十年も通い続けていたという中年男性なども。

こういう方々の来客は実にありがたいし勉強にもなるのですが、いかんせん客席が5坪しかなく、すぐに他人同士が触れ合うので、中には意見がぶつかることも多く、そういう時にちょっと手こずることもありました。

単に乱暴な人とか酔っ払いとか破廉恥な(死語?)人なら扱いなれているほうだと思いますが、インド通の場合は理性的というか知的な方が意外に多くて、これが適当なあしらいでは逆効果になることもままありまして。

そんな生活の中で、気軽に素に戻ることができたのが多賀さん率いる『ハンキ―ドリー』なのです。

『ハンキ―ドリー』は堅いこと抜きのラフな店ですから。お酒を飲むところ、トレンドやカルチャーを楽しむのに、あんまり難しい理屈は要りません。というかむしろ邪魔かもしれませんね。

夜の予約客が帰ってから、洗い物を残したまま、一杯飲みに行ったこともありました。そしてどうでもいい話をしまくって、帰ってから洗い物と明日の仕込みに入るという流れ。

なかなか体力がいるようですが、これが実は自分を助けるいい時間だったのだと思います。ま、私生活でもちょっと大変だった時なので余計に。

おかげで松阪ライフはとても楽しかったし、いい思い出がわんさかとあります。

その多賀さんが今回の新刊祝いということで店に呼んでくれました。

昔の常連客も来てくれました。幼馴染や親戚みたいに瞬時にため口になれる。単に歳食っただけ。

もちろん新たな出会いもありワクワク。

今回は平日‪木曜のランチ‬だったので瞬間風速はなかなかのもので、‪一時‬は駐車場が満車に。みなさん、ご多忙の中をお時間いただきましてありがとうございました。

それまでもスパイスとは深い関係にありましたが、三重県松阪市での暮らしは、自分とスパイスが一つになった場所。現在、自分がスパイス料理研究家として活動しだした大きな礎となった町です。

『THALI』がターリーを作る最もふさわしい故郷のようなところです。

終了後、SNS通の多賀さんからどっぷりとハッシュタグ講座を受けましたが、わかったようでやっぱりわかってませんね。

●6月28日メニュー

『THALI』によるターリー 1600円

1.「鶏と万願寺のガラムマサラ炒め」
 新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』(幻冬舎2018.6)P79より

2.「季節野菜のサンバル」
 前著『絶対おいしいスパイスレシピ』P44アレンジ

3.「サバの水煮缶・南インドカレー」
 料理監修『カレーの便利帖』(晋遊舎2018.4)P35アレンジ

4.「キャベツとココナッツ」
 前著『絶対おいしいスパイスレシピ』(木楽舎2015.6)P50アレンジ

5.クミンライス
新刊P33より。ゴールデンフェニックス社ジャスミンライス使用。

6.インド産ミックスピックル

テイクアウト
(2)か(3)と他は少しずつのお弁当 900円

Photo by J

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