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酷暑を除湿モードで辛みと酸味で乗り越える

連日、酷暑猛暑が続きますね~\(;゚∇゚)/


これだけ暑くなって必ず出てくる話題が、夏に相応しいスパイスはあるのかということ。

僕はいかにも正しそうな教科書みたいな本やネットを見ても、昔からどうしても頭に入らないんですよね。


体育会系だから?身体で覚えるしか理解ができない。


さらに昔からインドやスリランカ、パキスタンなどの酷暑地帯の人間と交友関係が広いので、彼らの言い伝えや習慣もいつのまにか身体の中に記憶として刻み込まれてしまった。


ま、それこそが今夏出た新刊の『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスレシピ』のバックボーンとなっているわけですが。


そこで酷暑猛暑に最適なスパイスは何かというといくつかあるのですが、昔から相場が決まっているのが辛いもの。


僕は昔から実は辛いものが苦手で。それがですよ、昨年インド・ラージャスターンにホームステイしてから、生れてはじめて辛いものをうまい、いや正確には心地いい、と感じたのであります。


盛夏の始まり、と言われる、4月末から5月上旬にかけていきました。ステイしていた街は通称ブルーシティことジョドプール。


本当にフォート(お城)近くの旧市街の建物の大半が、鮮やかな青色に塗られているんです。


建物の多くは石かセメントでできていて、上からペンキを塗っただけのもの。建物によっては部屋の中も全部青一緒に塗られている。


僕の友人のお婆さんの家がこの旧市街にあり、初日挨拶に伺いましたら、これがなんと日中軽く40℃以上になるのに、扇風機一つしかないんです。


インド人の多くは少しでも明るいと電気を使わないですから、部屋は青薄暗いといいましょうか。そこに薄汚れたシーツのベッドがあって、90歳を超える老婆がずっと寝ているという状況です。これは日本では周囲が大慌てになりそうですね。


しかし、この状況が実は心地いい。まず外はどこかしこもずっとそよ風が吹いている。で、これが涼やかなんです。大阪や京都、名古屋みたいにむわ~っとした地熱じゃない。


そして外は紫外線が強すぎるせいか、室内の日影が真っ暗に近い感覚で、これまた涼しく感じられる。実際、温度計のある家にもお邪魔させてもらったら、外気温と10℃ほども違ってびっくらこきました。


と言っても外が42~3℃で室内が32~3℃という、そんな世界ですけど。でも、単に温度差だけが涼やかなのではなく、この地域は湿度が低いんです。ステイ先である友人宅の湿度計を見ると、だいたい毎日40%以下。70とか80の日本の半分ほどしかないです。


こんな気候環境の中だったからこそ、辛いものがぴたっとはまったんですね。


インド北西部に位置するラージャスターン州の中でも、ジョードプルは砂漠地帯にある都市で、古くからパキスタンや中東との交易で栄えてきた街です。


街のシンボルである、メヘランガール・フォートの一番上から見るとわかりやすい。旧市街の北西部は延々と砂漠が広がり、果てはパキスタンまで続いています。


街場のレストラン、ライトフーズ、デザート、菓子、果物など様々な飲食に触れてみてわかったことは、まずは辛い、オイリー、柑橘、クミンの頻度が高い、甘い、瑞々しい、ということ。


インドの中でもなかなかに辛いほうだと言われます。でも、この辛みが救ってくれる。この辛みは瞬時に汗が出るほど。つまり3秒くらいで頭が涼しくなるんです。湿気がなくて風があるから。


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スパイス卸売市場の一角にある製粉所。ラージャスターンは品質のいいレッドペパーの取扱量がインドの中でも多い。


で、多くの料理にレモンやライム、ケールのアチャールという辛いオイリー酸っぱいの3拍子ぞろった漬物が必ず出てくる。辛すぎると感じたら、酸味を加えて好みに調節するんですね。


辛いものは酸っぱいもので分解できますから。これについては当誌スパイスジャーナルvol.09で近畿大学薬学部薬学博士と共に徹底分析研究しました。


そしてなぜ何でもかんでもオイリーなのか。これには多くの理由があります。一つは水が料理の軸になっていないこと。だいたいどの国でもそうなんですが、この辺りは特にオイルに対する依存が強いと思います。


辛みであれ、クミンであれ、その効果を生かすにはオイルが大事だからです。


辛みは解毒作用があるとも言われるし、クミンは防腐、整腸剤、下痢止めになると言われます。


早い話が夏バテ対策。


さらにさらに、オイリーであるということは身体に潤いを与えます。油断大敵ですから。


僕は昔アメリカ、カリフォルニア州に2週間泊まり込んだ時に、喉を患ったことがありまして。すごく腫れて呼吸困難になっちゃったんです。病院へ行くと、扁桃腺の下あたりに変なウイルスが住み着いてしまったということ。


結局この時は日本にはない強力な抗生物質を出してもらい何とか凌ぎましたが、つまり乾燥状態というのは無数のウィルスが元気になってしまうのだそうです。


湿度の高い日本では、常々カビやダニの心配がありますが、これは湿潤気候だからこそ。カリフォルニアやラージャスターンはウィルスが大敵なんですね。


増してやこの地域などは6月か7月頃から雨季に入るから、ウィルスの次がカビとダニで忙しいというか厳しくてしょうがない。


オイルは潤いだけでなく、スパイスが持つ薬効成分と仲良く同化してくれます。だから単なるオイルではなく薬効いるとなっているわけです。


抗菌と防腐。これが理由なんですね。


いやはや、料理というものはつくづくその土地環境を映し出しています。これはスローフードということになるわけですが、スパイスはやっぱり奥が深い。


昨今の日本のクレイジーな酷暑をスパイス的にはどう乗り切るか。


湿潤気候の国なので、エアコンがバンバンきいた乾燥した店や部屋で、辛くて酸っぱいものを食べ、菜種油などをどっぷりと使い、キュウリで水分とミネラル補給し、できればデザートにマンゴーやココナッツジュース、なければレモンスカッシュなんかを飲むとかなりいいのではないかと思うわけです。


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手前がラボディ(コーンの生地)の煮込み。めちゃオイリーで辛くて酸っぱくてクミンが利いている。左は郷土野菜のグヮルファリーのニンニク炒めでこれまた辛い。チャパティがきれい。ジョードプルのホームステイ先のおっかさん作


ほな、がんばって夏を行きましょう!



スパイスジャーナルvol.09はオンラインショップ『TIRAKITA』でも購入が可能です。

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