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2018年9月9日の記事

『姫路の地魚 食彩図鑑』にゾクゾク




本を見てゾクゾクするのは何年?いや何十年ぶりでしょうか。

先日お仕事でお世話になった方から、自社制作の本ということでいただいたんです。表題の本。

僕は小学校時代は兄貴の読書感想文を6年間加工し続け、中学時代は国語は慢性赤点、高校時代は教科書を持って登校したことが殆どないほどの本嫌いなのですが、この手の本だけは大好きで、築地魚河岸時代は長老から魚辞典を授かり、バーテン時代には海の釣魚ポケット図鑑を何よりもの宝とし、我が書棚の最長在庫本となっております。







ついでに魚かるたもあるよ〜

スパイスジャーナルの次はサカナジャーナルをやろうと思っていたくらいの魚好き。

そんなだから『姫路の地魚』なんて言葉の響きだけでも、今日の約束事も仕入れのリストも吹っ飛ぶくらいの衝撃波があります。



ドキドキしながら紙面をめくると、まずグッときたのが播磨灘(淡路島から小豆島を含む兵庫県沖周辺)の名産ともいうべく魚の1つにスズキが入っていること。

おいおい、スズキは大阪や東京の有機物質にまみれた真っ黒ぬるめの湯加減を好むんじゃなかったのか、と。

全国でもトップクラスの水揚げなんですって。つまり食用に向いているということです。

昔は言われてました。梅雨明けのスズキの洗いは最高と。真水の影響を強く受ける魚がゆえにそう言われるわけですが、公害汚染末期の現代はこれほど不味くて危ないものもない、というのが釣り師の間で常識となりつつある考えであり、実際食べてみると色は悪いし不味くて仕方がない。

でも稀に美味しいスズキと出会うんです。本書にも出てきました。この魚は居着き。つまりその地域で生まれ育つ魚。



だから地域性がもろに出るわけで。美味ということは、それだけ育った場所が美しいということなんですね。

海で言う美しいとは透明度ではなく栄養度というべきでしょうか。要するに生き物にとって好環境かどうかです。

こんな状況から水揚げ量がトップクラスということは、播磨灘の栄養度もトップクラスというわけで、それは海が健康的という意味でもあるのではないかと浅知恵の僕はそう思ってしまいます。

あと感激なのがサワラ。瀬戸内海の名魚といってもいいくらいの魚ですが、結局この本来は外海の回遊魚がなぜ瀬戸内海の名産なのかというと、タイやブリなどと同じく、最適な産卵場になっているからなのですね。

これは昔から聞いていることですし、同様に富山や常磐もそう言われるのですが、瀬戸内海は通年の海水温度と潮の干満の差が激しいことが強みのようです。

魚はデリケートに反応しますから、温度や潮の流れには実に敏感です。1300万人を擁する京阪神にとってこれほど好都合な海というわけですね。

ですが基本的に海の資源は全て激減の流れにあります。今時の子供達が好きなサーモンやマグロはすべて遠方の外洋系。早い話が輸入品。

日本の歴史が詰め込まれてきた寿司は基本的に目の前の海で上がる魚種ですから、とっくに寿司は日本文化出なくなっていると言えますね。

中でも穴子はすでに幻、と魚河岸の仲買も瀬戸内海の釣り師や漁師の口癖ですが、東は羽田、西は明石ということで、地元のプロはどう考えるのかと思いきや本書に載っていました。

昭和の終わりに数百トン〜800トンあったものが、平成10年で200トン、20年には100トンを切り、24年には50トン以下で増える可能性はなしだと。シャコやアサリも時間の問題のようです。

が、一方で増加傾向にある魚もありました。それがハモとサワラ。またまた登場ですねサワラ。サワラはスパイス料理にしても美味しいですから個人的にはかなり嬉しい話です。



ただ悲しいのは、いまだサワラを釣ったことがないこと。神戸あたりでルアーでゲットできるはずなんですが(涙)

ほか、播磨灘の平均水深は約25メートルと想像以上に浅いことにも驚きます。特に本土側が20メートル程度の砂泥底。明石海峡西部や淡路島南部で60〜100メートルなんですって。

ちなみに日本最大の魚種量を誇る富山湾は1000メートル以上と言われますから、これがいかに浅いかということです。浅い=魚にとってはあまりいい環境ではない、はずですが、先述のように温度差と潮の流れ道であり、干満差が大きいことから回遊魚も入り込むし、河川が多くて栄養が豊かなことから産卵場所に最適だという奇跡の海なんですね。

まー自然は全て奇跡なんでしょうけど、これほど人類にとって好都合というのは奇跡の中の奇跡なわけで。いい加減な遊び人フィッシャーマンである僕はやっぱり日々自然に畏敬と感謝を感じてしまいます。

いただきます&ごちそうさまです、瀬戸内海!
そして今度こそ釣ってやる!

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