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若者よ、余計を抱け!

今朝、いつもの公園で体操&ヨーガしていたら、犬友の青年がやってきました。

彼は関西の立派な大学を卒業後、一浪だか二浪だかの末、技術系の仕事に就職し、2,3年経ったくらいでしょうか。

グッドモーニングのハウドゥードゥ―と言ったら、どうやら最近仕事がつらいようで。

内容は、上が何も聞く耳持たずにそのまま下に丸投げ、だとか。早い話が、持ち場の違う人間同士がわかりあえないという社会人として極めてまっとうな悩みなのです。

いいですね、彼もまた上手に成長してる、と思ったわけですが、当の本人は確かに以前よりちょっと痩せているし、笑顔がなくなってるし、得意の饒舌がうまくまわらない。

最初は「みんなそんもんやで、そのうちクリアするで」と笑っていたのですが、「もう、本当につらいんです、悔しんです」と珍しく眉間にしわを寄せているので、ははぁそうか、と直感めいた僕は、よし、ここは社会人先輩としていっちょ語ったろかと思い、足の屈伸や腰を回しながら話しだしました。

”実は俺もね、昨日すごくつらいことがあったんよ。ある大手のクライアントさんの器具を使って料理をしなきゃならなかったんだけど、全部で7,8品あるうちの半分もうまくできなかった。

そりゃ、新しい器具を使うわけで、リハーサルもデータもなく、道具を見ただけで勘とディレクターのアドバイスをたよりにレシピを練り上げたので、うまくいくほうがおかしいわけだけど。でもね、カメラマンやスタイリストさんや、10人近くのスタッフに囲まれながら、この出来じゃ、お前本当にプロフェッショナルか!?本出してるんやろ?何十年やってるの!?などと思われたんじゃないかと。

それくらい料理としては失敗の連続だった。特に俺の仕事は、誰でもできる、その辺のスーパーで揃えられる、その器具でできる、その上で見ただけで元気になる、作れそうな気がする、美味しそうな感じ、そして何よりちょっと面白いスパイス使いをしている、というさまざまな特殊なミッションがあるわけ。

帰りの車の中で呼吸も止まってしまうほど、もう立ち直れなかったよ。でもな、家に着いたときはこう思えるようになっていた。

そもそもが新型の使ったこともデータもない器具を駆使して、2週間のイメージトレーニングとぶっつけ本番8時間の中であれだけやれたら今回のミッションは達成できているよなと。

そして何より、普通の料理人や料理研究家ではなかなか出ることのできない媒体とタイアップなわけで、そのクライアントさんがこんなに喜んでくれたのだから十分仕事としてはコンプリートしてる。

悔しいのは俺個人の問題。むしろ新しい仮題が明確になったことは捨てがたい宝物。大きな壁だからこそつらいし見えない。そうか、これは失敗じゃなく大きな大きな収穫だったんだな、とそんな風に思えたんよ”

彼もまた今時の、正論をたくさん言葉としてもっているタイプ。あれもわかっている、これもわかっている、と何かと賢い。

でも、頭はいいのだけど、彼にはなにか核心が見えない。それは何か、とても致命的なもの。そう、真面目過ぎるんです。余計なことがなさすぎるのです。端から端まで無駄がない。

いかにも正しいことを、山ほど知っている風を決め込んでいる彼に僕はこんな風に続けました。

”結果がすぐに出ないからこそ本物なんやで。すぐに答えがわかるものは壁でも学びでも何でもないし。つらいことほど成長できるチャンス。ただ、それが大きければ大きいほど10年20年かかるかもわからない。(もっとかかることもありますよね?)( )は青年のかえし。

その壁の大きさは変わらないし、つらさも減るわけじゃないけど、そんなときの自分を助けるものが実はたくさんあるんよな。(そうそう)

例えば、それが彼女だったりして。(うわ~そうきたか・・・)

なに、まだ彼女いてへんのか。電車乗ってたらたまにいるやろ?だっさい男やのにめちゃんこ可愛い彼女連れてるやつ。自分それに負けてるんやぞ。そっちのほうがむかつくやろ?俺なら耐えられない。でも、よくよく考えてみ。そいつの魅力は何だろうって。筋肉かもわからん。声かもしれん。実は優しいとか、強いとか。逆にへなちょこで彼女が支えになりたがってるのかもしれんし。なんでもええねんけど、乗り換えまでの間にその考察をやり切るんや。そしたらその電車時間はかけがえのないものになる。仕事も大事やけど、これも同じくらい大事なことやと思わんか。(・・・・・)

釣りだってええねん。(ふむふむ、渓流やフライ、いろいろありますよね)

そんなどうでもええ。とにかく竿をもって海へ行くんや。魚が呼んでる、海が呼んでるから。水面の揺れ方、風の匂い、海の色とか、毎回違うんや。そんなもんがネットや本を見て書いてるわけないやん。ぶっさいくな男に可愛い彼女がいるのと同じこと。(・・・・)

音楽でもええ。今は動画も簡単に手に入る。俺らの時代は西成の闇業者んとこいって海賊版探したりしては、みんなで騒いでた。(音楽はちょっと・・・)

そうか、なら歩けば?歩くのって楽しいよ。団地の中でもいいし、向こうに見える箕面の山を制覇するとか。そうや、最近は可愛い女の人もちょくちょく見るで。山の中であってみ。そりゃもう街では単なる混沌が、一期一会の衝撃的出会いに変わるんやぞ。挨拶だけでええやん。むっちゃ気持ちええから。(山ガールですね?)

そう、だから君も山男になったってかまわんねん。(あはははは・・・)

別に女の人と出会わなくたって楽しいぞ。俺、こないだ河内の山上ってきたけど、頂上で食ったおにぎりはどんな高級レストランにも負けんくらい美味しかった。(おもしろそう・・・・)

そやろ?人生はつらいことはなくならないし、その大きさも変わらない。現実逃避と冷やかすやつもいるけどそんなのどうでもいい。逃げてもごまかしても、どうせまた同じ壁がやってくるから。

俺はね、今までけっこう大勢の成功者の方々をインタビューさせてもらってきたけど、総じて言えるのは、すごい人ほど業深いもんや。人間はたぶんプラスマイナスゼロ。マイナスは避けてプラスをもっと増やそうとするやつがたまにいてるけど、そいつらはだいたいいつか自滅してる。

逃げようが何をしようが、また同じ壁が来る、ということは実はラッキーなんやで。ただ、そう考えることができるには、ちょっとだけ心にゆとりが必要やねん。

平たく言えば余計なことや。俺なんてずっと落ちこぼれで高校も危なかったような人間やったけど、余計なことだけはたぶんかなりやってきた。で、今を支えているのはぜんぶそれ。

理屈にならないところに、ごっつ大事なもんが隠れてるんよ。彼女かもわからん。趣味かもわからん。自分に誠実に生きてる人は勝手に親友もできる。いいね、なんて必要ない。SNS要らずのリアルな世界。

つらいこと、嫌なことは絶対になくならない。大事なことはごまかすんじゃなく、ちゃんと苦しんで悩むこと。で、それと同じくらい大事なんが余計なこと。壁の大きさと余計なことは同じくらいあったほうがいい。
(そうか・・・・なんかやる気出てきました。さっきまで9割苦しかったけど、いま1割に減った気がします。ありがとうございました!)

あ、そうそう。おかあさんに言うたらあかんで!怒られるかもしれんから。
(はい、わかってます!)”

ちなみに、彼のおかあさんはこの公園のレギュラーであり、僕ら犬友のリーダー格です。この若者が卒業するまでの何年かなかなか苦しんでいたことを知っています。そしてたぶん僕のことがちょっと好き。だって、めっちゃ話しかけてくるもん。おかあさんは年齢を疑うほどの美人。うっしっし。

彼は一人っ子らしい。今は一人っ子がなかなか多い。でも、それもまた紙一重だと思います。一人っ子だからこそ、こうやって濃い近所付き合いも生まれるのだと思うし。

色々と悩み苦しむのは、その分だけ成長できるチャンスだと思います。そしてそういうことがあるということが、すでに成長していることだと思います。

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