畑をやりだして知ったこと編~時間帯
今まで農家って特に夏場は大変だな~と思ってまいりました。
取材で伺う方々全員が「夏場は大変」といったかどうかはわかりませんが、きっとどなたかがそう言って、依頼そういう印象を勝手にもって生きてきました。
そして実際に自分が畑をやりだして、スタートは4月9日で、当初からすでに汗だくになって草刈り・草抜き、定植などをして、あ~こりゃ大変だ、などとわかったようなことを言ってみたりして。
で、梅雨に入って、今度は雨との戦い&お恵み。特に今年は記録てな梅雨入りの速さで、そんなに早く梅雨になっちゃうと予定ではまだもう少し先なんだけど、でも雨が確かに多いから葱坊主が出ちゃってるよ!なんてことになって、早いけど遅い?!という奇妙なタイミングで収穫してみたら、まだ育ってないのにトウがたっていたなんてことになり、でもでもよく調べるとそれって育苗に時間をかけすぎた可能性があるとか、植え付けが遅かったのかもしれないという話もあったりで、もうなんのこっちゃわからない。
また雨はどちらかと言うと苦手らしいジャガイモにとっては、そんなに降られまくると腐っちゃうじゃないか!とまではいわずとも皮がしわしわになるじゃないか!さらにキュウリやナスにとっては、水分大好きなのだけど、そこまでたらたらと長雨じゃカビがどんどん増えて病気になっていく~なんてことも。
いやはや、ほんと梅雨の雨が降りだすタイミングや何日の間どんな降り方をするかということ、雨水の量感、太陽の量など、もちろん野菜は自然のものだから自力で調節していく力はある、はずだけど、これまた土づくりから苗づくり、その後の管理まで、人のかかわり方によって軟弱ものとたくましいものの差がとてつもなくあるらしく、まったく一筋縄じゃないのです。
人間と同じですね。どんな育ちかで、その人のたくましさは激変する。それは幸福度といっていいかもしれませんね。幸福な人って不幸と自称している連中と同じ環境下にあっても、勝手に幸福になる力を持っているわけだから。まさしく野菜の地力と同じ。
こんな風に確かに畑は哲学なんだな~と身体でようやくわかってきた僕ですが、具体的なところでの話、管理のタイミングというものがここまでシビアにあるものなのか、ということを最近は如実に実感しております。
というのも文頭でも話したように、「夏場は大変」信仰が今この瞬間音を立てて崩れている最中だからです。
僕はたぶん人並みに頑張ってきました。特に梅雨明け。日中気温、平気で35℃を超える猛暑酷暑続きで、実際の畑の気温はさらに10~15℃は高いと言われており、それはずっとサウナに入っているような状態の中、水に浸けると冷たくなるタオルを買い、でもこれじゃ15分と持たないことを知り、だったらとアイスノンを入れることのできるマフラー?を買い、これなら1時間は持つことが分かり、帽子は意外に暑くて禿げそうなので、やっぱりなんにでも使える白いタオルがいいやと、ここは釣りと同じ。
釣りといえば専用のクーラーボックスはかなりお役立ちなのですが、通っているのがバイクで、日に日に小道具やらが増えていく中で、載せられるだけのスペースを作ることが難しく、今度はイベントに使うソフトケースを持ち出すもこれが大きすぎて今度は邪魔に。本当に冷やしておきたいのはなにか?マフラー用の予備のアイスノン。飲み物。昼飯。
飲み物は最初はペットボトルを近くのコンビニやスーパーで買いこみ、イベント用に在庫している紙コップで飲んでいましたが、これではゴミが出る上、空き容器が意外に邪魔で、徐々に500mlボトルを2個買いだすのですが、今度はそれでは250円ほどの出費になることが分かり、だったらば家の2L入のミネラルウォーターでええやないか、となるのですが、これが水では体力が持たず。そこで今のところ出た答えは、粉末ポカリスェットを買っておき、これを二倍で薄めるのです。1袋1Lのところを2Lに薄め、600mlペットボトル2本、というのが現段階での最高パターンです。
それ以外にアーユルヴェディック的にココナッツオイルの日焼けケアを施し、ガスじゃない吹き付け虫よけスプレーを使い、スエノブくんお勧めのホームセンターに売ってるひざ下までのロングタイプの白いゴム長。
昼飯は最初はインド料理を作って持っていったりしてたのですが、スエノブくんもいつも僕の畑に付き合えるわけじゃなく、むしろ専門のトウガラシの準備が始まり多忙になっていき、やがてコンビニのパン屋弁当になるのですがやっぱり飽きて、癖で各所のスーパーを調べているものですから、すべてのスーパーの総菜を買うようになり。
でも、それも飽きてきたころに、少しずつあることを知りだすのです。
それが、ようやくの本題!農作業にはすべて「時間帯」というものがあるということです。
まず水やりの時間帯。これは一番いいのは朝なのだそうです。早朝じゃありません。日が昇って8時頃までの普通の朝。人間と同じく植物も目覚める時間帯というものがあるらしく、それが日の出から8時頃までなんですって。で、その後、お昼ごろまでをかけて光合成していく。太陽の光を取り込みながら、ワイワイワ~イと活性化していくわけですね。
もしこの時間帯が無理なら夕まづめでもかまわない、とも。朝ほど効果的ではないらしいですが、植物が寝る前にしっかりと水分を与えておくとカンカン照りだった日ほどしゅわ~と吸い込んで休まるようです。メリハリが大事なんですね。
で、成長過程で必ずと言っていいほどの難局らしい、害虫との戦い。僕がお世話になる場所はオーガニックなので、化学薬品は使えません。が、ちゃんと有機JAS認定のオーガニックのクスリってものがあるんですね。早い話が植物のアーユルヴェディックです。漢方といってもいいかも。
すべて天然成分エキスなので、化学薬品ほどの特効性、速効性は期待できなとのこと。それでも使わざるを得ない状況というものがやってくる。ただしかし、もっと突き詰めて言うのなら、本来の植物の体調なら基本的に害虫や病害にはまず遭わないのだそうです。
これ、すごい話ですね。元気なやつは変な病気にかからないと。またまた人間と同じですよ。どこかに弱点というか、ひ弱な部分があるとか、今一つの体調の時に虫や病原菌に侵されるんですって。だからとどのつまり、元気な植物を育てろ、というわけです。
ならば元気な植物ってなんやねん!?というと、それが育苗なんだそうです。そう、三つ子の魂百までなんですよ。小さいときにしっかりと努力して基本を習得したものは、最後までいい人生を全うしていくというのです。いや~哲学!
野菜でいえば病害虫のリスクが少なく、しっかりと元気な野菜や果実を成らせ、がつがつと生み育てて、限界まで来たら老いて死んでいくのです。たまりません。
おっといけない、話が脱線しましたね。時間帯の話です。
つまり、夏真っ盛りの間は、くそ暑い12時や14時頃に作業することはないというわけです。だって植物が嫌がっているわけだから。真昼間に水をやると煮沸状態になると言います。植物にとって高温の湯は大敵なんですね。
これが夕方ならかなり気温地温も下がって、夜に向かってますます下がっていくわけで。
アーユルヴェディック的ケアも夕方でいいのだそうです。植物が休まる時間帯に欠乏成分などを補い、夜寝ている間にじっくりと体内に行き渡らせるというわけです。また灼熱下ではせっかく与えた薬も瞬時に乾燥してしまうし。夜なら葉面散布などは特にしばらくとどまってくれます。
このことを何日もかけて少しずつ理解しだした僕。なので先週くらいから、夕方にいくようにしています。ただ、これだとカミさんの迎えができなくなってしまうわけですが、カミさんが帰りはタクシーで構わないと言ってくれて。お金がかかってしまうのですが、支給される交通費と差し引くと500~600円の負担で何とか行けるそうです。その分、僕が何か収穫を持って帰れればいいわけです。
あと、夕食も遅くとるようになってしまいました。今まではカミさん時間に合わせつつ、だいたいは7時頃まで。でも最近は9時頃になってしまってます。
このように野菜作りというものは、どうしても人間が自分の都合を打破して付き合っていくほかないのですね。真夏の過酷な中で作業する必要性がなくなった代わりに、少しの出費と晩御飯のリスクを背負っています。深いな~畑。
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