カテゴリー「スパイス料理研究家として」の90件の記事

白胡椒はやっぱり興味深い

90年代から僕が一貫して感じていること。それはスパイスは種類の多さよりも、そのものの質である、ということです。

スパイスというスパイスはない。スパイスは総称であり、それを構成するのはすべて植物であるからです。

硬いっすねー💦
つまり野菜や果物と同じというとわかってもらいやすい⁈

よく人から聞かれるのですが、どんなスパイスが好きですか、とか、珍しいものは?とか。そこで僕が答えるのはいつもこれ。胡椒です。

と言うと、なーんだ胡椒ですか…ってみんなつまらなさそうな顔をするんですよね。でも本当だからしょうがない。

胡椒の深い話をし出すと日が暮れて朝がやってきそうなのでまたにしますが(あるいはスパイスジャーナル14をご覧ください!ってすでに在庫切れだけど)、ここでは白胡椒の話を。

日本は最近スパイスブームらしいのですが、どうもみなさん胡椒を用いても黒胡椒ばかりなのが気になるところ。

これは高級レストランなどの間では元々安価な補欠的素材でした。白胡椒がないときや、ちょっと気晴らし的に使いたい時のスペアというか。

実際今でも白胡椒の方が高価で、流通量も黒に比べてはるかに少ない。

歴史としては黒胡椒の方がかなり古いようですが、世界的に上等な料理にはこの白胡椒を使うことが多いです。一部緑胡椒を使う国がありますが、これは生の胡椒のこと。

特徴は黒よりも辛みが上品で、香りは黒にはない芳醇かつ華やかな香りに満ちています。ちなみに生の緑はフルーティな酸味とほのかな甘みがあり、鮮烈でありつつもあと抜けのいい辛みが特徴的です。

品種は黒も白も同じもので加工の方法が違うだけ。緑胡椒を摘み取り、洗浄した上で天日に干したものが黒胡椒。一方の白は、真っ赤に完熟したそれをよく洗ったら水につけて醗酵させ、皮を剥いたもののこと。

これって意外ですよね!若いのが黒で、完熟が白ってつい逆に思いがち。で、面白いことに生の胡椒は若い方が辛みが上品で完熟は激しく辛いのに、完熟の白胡椒は辛みがマイルドなんですから。

この理由は皮にあるようです。胡椒の辛みや風味は皮に集まっているという話。だから皮をむいてしまう白胡椒は結果的にマイルドになると。

ではなぜ白胡椒の方が芳醇なのでしょうか?これは醗酵に理由があるようです。水につけると2日くらいで醗酵し3日目には簡単に皮がむけちゃいます。

ここで乾燥させて商品にしてもいいのでしょうが、ここからもっと長い時間つけておくとさらに醗酵が進み、そのことで果実そのものが芳醇となるわけですね。

こうしてどっぷりと醗酵した白胡椒はなんとも言えない豊かな風味を持っています。この芳醇な風味を生かした料理が世界にはたくさんあります。中華のバクテーやヨーロッパのホワイトソース、ブイヤベース、シチューにも多用しますね。

ね、胡椒と一言で言っても色々でしょ⁈ たかがされどの胡椒です。そしてその仕様や使い方で食味は全く異なります。

僕は昔よく白胡椒を使ってました。でも一時期より、安価で入手が安定的な黒胡椒を使うようになり、やがて粗挽きの魅力にとりつかれ、今では黒が主流に。

でも今あらためて、やっぱり白胡椒は深いなーと思い出し、先日カンボジアで収穫してきた赤完熟を使い、白胡椒化の実験をしているところです。

確かに3日目で皮はむけました。そしてさらに芳醇を目指してただいま継続中。目標は1ヶ月!

2/20からやっているので現在13日が経ってます。どうなるか⁈また報告します。

カンボジアの緑胡椒!

久しぶりに行ってまいりましたカンボジア🇰🇭!

今回もまた目的はクラタペッパーさんです。代表の倉田さんとはじめてお会いしたのは2012年?2013年?

拙著スパイスジャーナル14で特集を組み、さらに当時のウェブ連載カワムラ商店「職人味術館」にて密着取材せて頂いたのです。

職人味術館 中編

職人味術館 後編

職人味術館 特別編

あの幻の完売号と言われる14号。これこそが各メディアにおいての叩き台にもなっていると倉田さんご本人からも伺い、いやはや実に光栄ですしありがたい限りです\(^o^)/

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単にカンボジアで立ち上げたというだけでもすごいのに、そこに良品質の胡椒と出会い、何より厳しい栽培〜加工〜販売の一貫全てを管理されている点がすごいです。

今では各メディアに登場しすっかりメジャーな存在となっています。昨今では、大阪の朝日放送でしたっけライフというステキな番組で二編に渡り放映され、最近はマツコの知らない世界でも大々的に紹介されたようです。

追いつかないくらいの発注があったでしょうね。素晴らしい!これが出来るだけ高い水準でずずっと続いていけばいいですね!

ぜひ倉田さんのような方が、1人でも多くの支持を受けて永続的に素敵な胡椒を栽培販売されることを祈っております。

倉田さんを介して、奥様、生産者のホー・ブッティさんとそのご家族、スタッフ方々、ついてはカンボジアへの崇敬と言いいますか感謝といいますか、そういう気持ちがひたひたと伝わっていく気がします。

さて今回の渡航はかねてから興味を持っていた、農園収穫イベントです。毎年開催されているようで、今まで何度もお声がけいただいていたのですがなかなか忙殺の日々で^^;

でも昨年末に大阪のイベントで久しぶりに再会した際、ぜひと言ってくださって。あぁ今回こそは何が何でも行くぞ!と思ったわけです。

依然貧乏暇なし。でもこじ開けてでも!という感じで。

結論から言ってめちゃめちゃ楽しかったです。いや前回も同じ農園にお邪魔してるんですよ。なにせ密着取材でしたから。

(前回の取材データ=写真約1160カット。動画12カット。音声444分)

でも今回は他の参加者の方々と一緒になってワイワイ言いながら、胡椒の枝をポキっと。プノンペン本店のスタッフの人たちもお手伝いに来られていて、冗談を言いながら一緒に歩くのは実に楽しいものです。またカンボジアの女性はみんな可愛いし!

気温は連日35度となかなかの暑さです。日本では5〜7度で萎縮してしまう寒さだというのに。

片道4時間くらいでしょうかね。夜は旅連れと一緒に屋台街に繰り出し街をうねうね。

朝はやっぱり市場巡りでこれもまた実に楽しい。

またふと立ち寄ったお寺で僧侶と意気投合し、そのまま宿舎?で食事をご馳走になったり。

さらには兵庫県出身という絵描きの女性と出会ったり。彼女もパワフルで実に面白い人でした。このように人との出会いも今回はたくさんありました。

初日の夜、倉田さんと食事に行きあれこれお話を伺っておりました。

ちょうど体調を崩しておられてようやく復活した頃だったようで。お酒はお預けです。ま、我々はアンコールビールですけど(笑)

初めてカンボジアを訪れたのは1992年の夏のこと。あれから紆余曲折して2004年に奇跡が重なり胡椒栽培に着手。

「知名度が上がったのはいいけど、今もずっとあの頃のように山あり谷ありなのは一緒です。たぶんこれからもそうなんでしょうね」

自分を律してそうおっしゃっているのか、本当に今なお大変なことが続いているのか、僕にはわかりませんが確かなのは倉田さんが発する胡椒は間違いなく美味しいということです。

特にフレッシュの緑胡椒がわかりやすいかも。完熟を黒にしてしまうこともすごいのですが、倉田さん持ち前の徹底したオーガニック栽培〜衛生管理〜品質維持あってこその有難い美味しさがあるのです。

ご存知でしたか?フレッシュの緑胡椒ってボリボリと食べることができるんです。噛んだその瞬間にプリッと弾けて、ほのかな甘みと酸味が飛び出したかと思うと直後に爽やかな辛みがじんわりと。

カンボジアではイカと一緒に炒めるクメール郷土料理がありまして、これはめちゃポピュラーです。ようするに生臭いものとよく合うわけですね。

激しく辛いのではなく、固すぎるのでもなく、プリッ&シュワ〜という感じです。

今は倉田さんが日本へも向けて出荷されています。本物の緑胡椒。日本人ならきっと新境地を開拓することでしょう。というか僕はすでにあれこれと試してきまし、今回もまた新たに緑胡椒を仕入れてきました。

昨日から着々とレシピ実験中です。僕のレシピはパクリとかたまにしか料理をしないなんちゃって料理じゃありません。確実に誰かのために作る毎回が本番料理です💦

また機会を見てみなさんにもご紹介できればと思いますのでぜひ楽しみにしていてくださいね!

知人友人からは今回のカンボジア探検は大変羨ましがられました。楽しさもさることながらやっぱり暑いから☀️

夜25度くらいで、風があるから心地よくて。常夏の国ってたまりませんね〜

ほなまた!

旅を共にしてくれた Noboru Katakura 氏にも感謝!今回もおもろすぎたですairplane

やっぱり山葵にはしびれます

先日とある雑誌のロケで山葵農園へ行ってまいりました。

なんと場所は兵庫県!もうすぐそこは日本海っていう北部の神鍋高原入り口にありました。

前々から行きつけのそば屋さんから噂は耳にしていたんです。在来種の保存会や子供達の見学会をやったりお若いのにとても熱心な方という風に。

実際に伺ったら本当に素晴らしい方でした。やっぱ人間は年齢じゃないですね〜(*´꒳`*)

ここの村は十戸と書いてジュウゴと発音するらしいです。その昔10軒の家が集まっていたことからその名がついたとか。


水路が張り巡る十戸の村

行った先は『北村わさび』と言います。

約3反(900坪!3000平米!)の広さがあります。めちゃ広いわけじゃないけど、こちらなんと60年間にわたり自家採種してるというから卸金ならぬ筋金入りです。

わさびって実はもうほとんどがバイオなのだとよく聞きます。つまり良品質の細胞を使った人工培養。とても不安定なものなので安定供給するために生まれた技術でもあるわけですが、バイオに頼らずおじいさんの代から三代続けて同じタネを継承しているというのはちょっと聞いたことがない!(・oノ)ノ

もはや文化を守るためといったほうがいいですね。それに北村さんの生き様は自然保護運動にもつながっています。

わさびって神がかってるんですよ、ほんと。その生態は理解できても生息システムまではちょっとやそっとでは作れない。

まずきれいな水じゃないと。でも綺麗なだけでは大きくならない。人間が食べるのはいわゆる根茎という部分で、根じゃなく茎なんですね。

だからいくら根が張って葉が伸びようとも根茎が育たないと意味がない。

かつて、天然わさびを求めて料理人さんや山の番人、編集者たちと北陸のある山を探検したことがあるのですが(スパイスジャーナル10)、けっこうあちこちにわさびの葉はありました。(と言ってもそれなりに秘境)

ただ根茎が太く育っているものはまずないんです。その山も乱獲防止のために立ち入りの管理がしっかりされてる山なのに。

これはいつになったら食べれますか?なんて野暮なことを聞くと、「さてはて、それは自然が決めることやから誰にもわからない。もしかしたら来年大きくなってるかもしれないし、あと3年かかるかもしれない」と言われました。

わさびの根茎が育つにはいくつもの奇跡が必要と言います。

まず清流であること。次にその水に栄養があること。わさびは水の中の栄養分を吸い上げて育つのです。ミネラルがたっぷり入ってないとダメ。

次に根が生える隙間が必要。わさびの根ってすごいボーボー(笑)根茎の倍くらいのふくらみがあり、ヒゲのように細いです。それほど栄養分を吸い上げないと根茎までは育ってくれない。

そして水温。8〜16度とも~18度とも言われます。まー平均して13度かそれちょい以下でないと。

さらにさらにこの水が流れ続けてないとダメなんです。わさびってデリケートなスパイスだからすぐに腐ったり育つのを止めたりするらしいです。

単なる水たまりではダメ。形状によっては自分の抗菌作用で自ら中毒を起こし、生育を止めるか時に枯れてしまうことも。

ね、めっちゃ日本っぽくないですか?

僕なんかが思うのは、あーやっぱり日本は水の国なんだなとつくづく。スパイスで見ていくと面白いんです。世界はどこも油だから。でも日本だけは水。そして世界に代表するスパイスがわさび。いやーまさにココでしょう。

北村さんを取材中、足元に落ちている種の話になりまして、ゴマほどの小さな粒があちこちに落ちていて、よく見ると芽を出しているものもあるんです。

生まれて初めて見ましたよ!わさびの芽。

今まで静岡のわさび農園を取材したことがありましたが、あの時は豪快なワサビ田と調整作業、わさび製品などを見ただけでした。

でも今回は若芽!しかもその辺の足元に。こんな小さなものに感激は特大です。

この村では年間13度平均の水が計測できないほど延々と湧き出ていると言います。あとでネットで調べたら十戸滝というのが農園のすぐ裏側100メートルも行かない場所にあるようで、これこそが兵庫県を代表する水の里なのだそうです。

ましてやこの辺りは数万年前に火山が爆発して溶岩でできた裾野と言います。ようはミネラル分たっぷりの水が溢れまくっているというわけです。


あの向こう側に尽きることのない滝が

この万年レベルでの地球の呼吸と言いますか、そう言った我々人間にはどうすることもできない次元の力でもってわさびというスパイスが育つのだと思うともうしびれまくってしょうがないのであります。

その自家採種という伝統と、奇跡の自然を守るために日々働いているのが北村さんです。単なるわさび農家じゃないとビンビン肌に伝わってきます。

最近は同じ水を使って自生クレソンを守る活動もされています。これもまためちゃくちゃおいしかったです。

クレソンの持つ辛味も実はわさびと同じシニグリンという成分。つまり細胞を崩すと酸素に触れ、そこから辛味が出るわけです。


北村わさび農園の淵にも自生わさびが。こちらは土に生えている、いわゆる畑ワサビというやつ。種は同じです。

わさびもクレソンもとても薬効ナブル(カワムラ造語!)なスパイスです。その源が水。水は綺麗な土壌と溶岩石などの条件が揃うことで栄養豊かになります。

その源は火山と雲。まさに地球ですやーんsuncloudrainthunderグレイツっ!

いや大げさじゃなく、わさびは本当にそのことを凝縮して伝えているスパイスだと思います。スパイスはどれもナチュラルなものばかりなのですが、その先にあるものを見ていくともっと深くて面白いと昔からそう思ってきました。

健康で美味しいわさびをこれからも食べたかったら、何をすべきかよくわかる話ですね!

 

最高でした!北村わさび農園という学び舎。みなさんにもぜひ一度行ってもらいたいです。

 

神鍋高原は年中素晴らしい自然美が溢れている場所です!

 

ほな!



落ちている種から新芽が


わさびの根や葉を綺麗に調整していく北村さん。一本のわさびを何分もかけて手入れしていく。

同じスパイスでも各社違うもので




先日、雑誌の仕事でスパイスのテイスティングをやりました。スパイスですからちょっと味を見るだけではありません。

1日1回こっきり。同じルーティーンを3日間続けます。もちろん料理にも使う。

その上で例えば同じターメリックでもメーカー?ブランド?によってどう違うか、という話です。

僕は以前から、同じ種類のスパイスでも質は多様という話をよくしてきたのですが、それは農作物だからということが前提。要するに農地環境や収穫時期、管理状態、品種などによって変わりますねということです。

でも今回の雑誌の企画はメーカー別なのでちょっと訳が違います。

で、何であれとにかく一度テイスティングしてからということだったのですが、これが想像以上に違い驚きました。

日本の会社の場合、ブランドが違ってもきっと商社や問屋は同じ、つまり同じラインのスパイスってこともあると思うんです。

またいくつかのラインのものを少しでも均質化させるためにブレンドしているところもあるのではないでしょうか。茶やそばがそうであるように。

つまり何が言いたいかというと、各社で方向性があると思うんです。はい、そうだと信じて今回のテストに挑みました。

そこでやっぱり見えてきました。各メーカーの方から直接聞いたわけではないですが、ははぁこの社はこんな方向性なんだななどと舌の上から伝わってくる。

同じチリでもそれがアジア料理向きなのか、ラテン系なのか、はたまたややラテン系だけど世界のどこの料理にも使えそうに特徴をあえて抑えているとか。

コリアンダーなら香り重視で味は軽めとか、双方ともに控えめとか、逆に双方ともに押しが強いとか。

基本的なスパイス4種について調べたのですが、最も特徴がないといいますか、どの社もほぼ同じと感じたのがクミンパウダーでした。やはりクミンはタフだなぁとあらためて思いました。クミンは生命力の強い植物のはずだから。

ここまで差が歴然とあるとなると確かに使い方もコントロールしたくなってきます。

今まで長年の間直輸入ものばかりを使い続けてきた僕ですが、その品質の良否、ばらつきに悩まされてきました。

が、日本メーカーの場合はそうではなく、特徴に合わせて使いこなすという世界観は大いにありそうな。

日本の場合はまず間違い無く品質については完璧でしょうから、スタート地点が僕が使ってきた直輸入ものとは違います。

そういう意味で今回あらためて日本の企業の努力というか凄さがひしひしと伝わってきました。これはおべんちゃらでも気づかいでも無く言い切れます。

質は十分、後はどう使いこなすか、です。詳しくはその雑誌を見ていただけると嬉しいです。

雑誌の名は『モノクロ
1/19発売の3月号です。

ご期待ください!

今年の?も!?抱負

スパイス観について僕の場合、昔から言ってることがほとんど変わらないわけですが(進歩がない!?)、せっかくの正月だし、僕のことを知らない人たちに知ってもらうという意味でも、昨夏に幻冬舎から出した『おいしい&ヘルシー!スパイスレシピ』の書店用ボードをブログに貼っておきたいと思います。

旧知の友やお客さん、読者方々はもうご存知かも、ですが、ところで君なにやってる人?って方々にご一読いただければ嬉しいです。

書店用ボードの原稿なので、写真やテキストが上のほうに偏ってます(笑)

このようにごく普通の一般人の僕が本なんぞを書かせてもらえるなんてのは、皆さんの応援あってのものだと日々痛感するのと同時に、とても光栄なことだと思っております。

ただただ感謝しています。ありがとうございます!

ほな、これからも仲良くしてね!🐗🍳pc📚
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2018年版ニュースページを更新しました

カワムラケンジの2018年版のニュースページを更新しました。

こちらは主にメディアに取り上げていただいた情報を記録しています。今年はラジオが多かったです。

各メディアの方々、お世話になりありがとうございました。来年も少しでも注目していただけたら幸いです。

キッチンを掃除していよいよ自作の食器を




久しぶりに我が家のキッチンを掃除しました。
といっても家そのものでなく、あくまで僕のモノを大掃除しただけなので中掃除。

今までやってきた店やキッチン&オフィス(かつてのスパイス料理研究所)のかなりのモノを人にあげてきたわけですが、それでもまだまだ小さな店くらいなら出来そうなほどモノが溢れています。

そこで取捨選択を生き残ったものとして、自分が焼いたへたっぴな食器があります。

飲食業の道に入ったのが16歳。そして食器に興味を持ち出したのが20歳の頃。最初は食器を飾るインテリアとしての鉄細工から始まり、その道の作家さんの工房に通い出し、次はガラス工芸作家へ。その方は僕が勤める店のワイングラスを作っておられました。

その後はボーンチャイナのプレートにどハマり。ナルミやノリタケは支社のショールームまでなんども通って見惚れたものです。

23歳で生まれて初めて自分の料理のための食器を作りました。当時は高級スポーツクラブのラウンジ運営を委託で請け負っていて数々のヘルシーメニューを開発しまくっておりました。

その中に、茶そばや手作りわらび餅などの膳「竹取物語」なるメニューがあり、その食器もオリジナルに徹したのです。

あれこれ考えて調査を経て、竹細工をすることに。竹そのものも自分たちで収穫します。産地は店からほど近いクラブの会員さんが所有する竹やぶ。

スタッフたちと共に5、6本切ったでしょうか。それを持ち帰り、好みの形に整形していくんですが、ど素人だからそれでは全部割れてしまいます。

竹は硬くて丈夫だけど縦にすぐに割れてしまうので、よくよく乾燥させてから細工しないといけないんですね。

地主の方に説明してあらためて収穫に。いろんな方が教えてくれました。こうしてこれくらいになるまで乾燥させるのだと。

そこで準備ができた竹から細かく切っていきます。これがなかなか硬い。なんとか大中小のパーツを整えます。

やや曲線を持ちつつも長細い形の皿は副菜やデザート用に。幅1センチほどの棒はタコ糸で編んでそばを載せる簾に。細い部分は輪切りにして上部を薄く削ってそば猪口にしました。

素人なりにこれがまたいい感じで実に好評でした。

こんな風に僕は常に食器への思いが料理と同じくらいあるわけですが、2007年には兵庫の陶芸教室まで行って、ターリーというインド料理を載せるプレートやプレート、お椀、小皿などを何度も作成。

教えてくださった方は、下手くそがいい格好したがったものほどダサくなって、下手くそでも素直に焼いたものほど少しずついい味が出てくるものだ、と言うのですがその言葉がようやくわかってきたような気がします。

今回掃除してて、これは捨てられないと思ったことはもちろん、今までも使ってはいたけどあくまで補欠的存在だったものを、これからは最前列にしようという気になりました。

というのも今でもたまに食器は見にいくし、取材でもしばしば注目しているのですが、自分が焼いたものって否が応でも超オリジナルであることに気づきました。

それに何より、陶芸の先生が言うように、捨てずに残してきた自作の食器はどれも実に味わい深いものだと思えてきたのです。

あえて指や手のひらで整形したものばかりで、色は基本的に白色ですが、釉薬をつけてないものもあって、それらは薄茶色。

とはいえスパイスべったりだとやはり染まってしまうので、それも今まで料理を選んできた理由です。が、何枚かはスパイスが染まってしまったものもあり、それはそれでまたいい風合いになっているようにも思えます。

というわけで、今後は遠慮なくスパイス料理にも使っていこうという心意気です。

来月は3回合計20ほどの料理を作成する予定ですが、積極的に自作の食器を使おうと思います。

ウッシッシ〜楽しみです(^ω^)



松阪『八千代』スパイス会を終えて

去る9/28金曜日、行ってまいりました、三重県松阪市へ。

結論から言うと、うん、とても楽しかったです。お客さんも定員満席になったし、八千代さんたちとの交流、新たな出会い、そして懐かしい常連客の方々と再会できたのが嬉しくて。

中には他界されてしまった方もいらしたのですが、それでもこういう機会をいただくことで再会できる人がいるというのは本当に幸せです。

とにかく必死だったあの頃(今も必死だけど!)。なんもわからず、ただがむしゃらに生きていた時期に出会った方々とは、おそらく一生付き合っていけるんでしょうね。

見栄も駆け引きもいらない、ちょっとした家族のような。もしかしたら僕が勝手にそう思っているだけかもしれないけど。

帰りは松阪時代に最もお世話になった方のところへご挨拶に。

本当『THALI』やってきてよかったと思います。まだまだ未熟もいいところだし、色々嫌なこともそれなりにあるけど、この思いが今の自分を支えになっています。






9/28松阪『八千代』スパイスの会に向けて

いよいよ今週となった、松阪城下町の老舗割烹旅館『八千代』さんでの『THALI』イベント。

『THALI』とは、かつてカワムラケンジが松阪でやっていたインド日替わり定食の小さな店の屋号です。

クローズした2001年以降、カフェハンキードゥリーでは何度かイベントを開催してもらっているけど、それ以外では木工作家の阪口君の工房と森林公園でアウトドアイベントをやったくらい。

しかも今回は三重県で名高い、料亭でのイベントときています。まさか我が『THALI』が『八千代』さんで料理会をするとは夢にも思っていませんでした。

これまでイベントに来れなかった方々に来ていただけるチャンスでもあります。とは言え、『THALI』常連大人層の多くの方はSNSなんてやってないか、一応アカウントを持っているだけで使ったことがないような方々ばかり。

僕もすっかりSNSに犯されていて?それ以外の連絡方法に頭が行ってませんでした。で、今回あれこれと昔のアドレスを掘り探り、ようやく見つけ出した何人かの方々に電話を。

やっぱりいいですね電話は。ドキドキして出るかな出るかな(*゚▽゚*)と思ったら出たっー!

うわー声変わってない!お久しぶりです。あれからあーでこーでこうなって…へぇーそうだったんですか!嘘でしょ???

みたいな、もう何から話していいかわからなくて、中学時代に彼女の家に電話した時みたいに不整脈寸前のドキドキまくり。

店を閉めて大阪に戻ってきてからあっという間の17年。長い長い、でも早い早い。

でも、さすがこれだけの時間が経つと、あの当時でじゅうぶん大先輩だった方々はもういいお歳であるわけで。

いいことよりも、悪いこと?つらいこと?寂しこと?の方が圧倒的に多くて、なんだか泣きそうになりました。

あー僕も必死に生きてきたけど、皆さんもめっちゃ必死やったんやろな〜なんて。

大病を患う方が多く、中には再起が難しい方、他界した方も。そんなこんなで両手放しに喜べることばかりじゃないけど、でもね!こうして再会ができる方もいるわけで!

なんだか再会って奇跡のようなもんですね〜
若い時は思ったことないし、会えて当たり前だったし、時には煩わしく思ったりも。

そう言う意味で今回のイベントは、単なる料理会ではないです。もちろんはじめてお会いする方々には、かつての松阪『THALI』のご挨拶となりますし、シンプルに料理を楽しみに来られる方もいらっしゃいます。

それに加えて、僕個人にとってはとても大きな意味を持った会でもあるというわけです。

あの時があったから今がある。これはあの時には思いもつかないことでした。

僕は狙ってスパイス料理研究家になったわけじゃなく、すべてお客さんや友達、料理人、インド人!編集者‼︎ 職種関係なく親愛なる全ての方々によって育てられた1つの結果です。

だから役割として与えられた今ということになります。ちょっと興奮し過ぎて何を書いているのかわからなくなっちゃった。すみません(*゚▽゚*)

とにかく、とにかく、数日前から準備仕込みを始めているのですが、胸が熱くなって仕方がないです。なんだろう?この熱い想いは。

人生はずっと繋がって今があるんですね、としか言いようがない。

今回は変化球なしの、オーソドックスなインド料理ばかり。まかない、家庭料理がコンセプトだった『THALI』から進化した部分も提供する予定です。

ロードサイドのレストランで出てくるような料理も2、3品作ります。

気合いが入り過ぎて、当日はボロボロになるかも💦

不安と喜びがめちゃくちゃ入り交ざってます。



ペパーチキンマサラのベース完了!これはロードサイドレストラン的な一品。



今回はカシミリーチリを使います。色鮮やかさが特徴。日本には入ってきていない希少なスパイスです。インドの仲良し料理人からの頂き物です。



イベントのフライヤー



今回はバスマティライスと日本米の2種を用意します

エッセイ「ミナミとカレー」

ここで言うミナミとは大阪の難波や心斎橋あたりのことであって、人の名前じゃありません。

目下、執筆中のタイトルです。間も無く締め切り。媒体は大阪の老舗グルメ雑誌あまから手帖。

今回はカワムラケンジのエッセイという個人目線ですが、昔からリサーチや校正などが厳しいことで知られる編集部です。

新旧を問わず、あーこれこそ商都であり台所であるミナミらしい店だな、浮ついたものじゃなく個性を確立できている味だな、と思う店を5軒取り上げつつ、ミナミの奥行きや面白味を語っています。

今回あちこちを歩いてみて感じたことは、今や僕のことを知らない若いカレー屋さんが増えていて、そのことがとても功を奏したと思いました。

知らないからこそ、その店の素顔が見れるんですよね、読者のみなさんと同じ目線、関わり方でもって各店を渡り歩くことができたというわけです。

街で偶然耳にしたり、まったく関係ない場所、例えば知人の服屋さんの仕入れ先とか喫茶店とか!そういう場所での口コミはご縁として大事にいただきながら。

本当色々勉強になりました。今の大阪の原寸大を肌で理解できました。つまりデマや洗脳?仕掛け?みたいなものも(笑)

怖いですね、イメージ操作というものは。何が事実で、実際にお客たちは何を感じているのか。これは渦中にいるとなかなかわからないものです。

ただ一つ思い残すことがあるとするならば、エリアがあらかじめ決められていること。

今回の対象となる圏内は、北は長堀通りから3本目の筋に出る手前までのブロック。東が東横堀つまり阪神高速道路の筋まで。南がなんばパークス南側筋。西がなにわ筋まで。

筋が違うだけで今回は対象外となったわけですが、これだけちょっと他のご商売が気の毒なほどカレー屋だらけになると、目の前にあったりするわけで。

でもこればかりは仕方がないです。いつでもどんなメディアでも、どこかにルールを作っていく必要がありますから。だからもっとこっちにもあるやん!とか言われそうですがその辺はご理解いただきたいです。

と言いましても、今回は単なる店紹介ではなく、ミナミという街の質を語ろうというのがミッションですから、そこんところを受け取っていただければ嬉しいです。

昭和40年生まれである僕の世代はおそらくミナミの栄華から下り坂を見ている世代だと思います。

それ以前の方は逆に上り坂。そして昭和後期や平成生まれの層はどうなのか?

少なくとも僕らよりかは敷居が低く間口も広いように思っている人が多い感じですね。

まーそんなこんなで、日々スパイスまみれな僕ですが、街のいろんなカレーを食べることができて久しぶりに刺激的でした。

大人がちゃんと普通に行ける、初めてでも魅力的な店を紹介しつつのミナミのエッセイ。現在の本当の大阪のカレーを感じてもらえると思います。

発売は9/23でもうしばしお待ちを。
さて今からもう一軒校正に行かなきゃ。ついでにビリヤニ食べちゃおうっと。

ほなまた。


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