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note に「大阪スパイスカルチャー」をアップデートしました

ほぼ絶滅寸前(;´∀`) このブログのほうがまだ更新頻度高いかも、な「note」を奇跡的に更新しました。

タイトルは『大阪スパイスカルチャー』。

昨今、スパイスという言葉と大阪がくっついて何かと注目を集めているようなので、ここらへんで本当の歴史について出力しようと思った次第です。内容は「大阪とスパイスの関係」について。形としてはほぼ年表です。ところどころ時代背景などスパイスとは直接関係のない時事も記載しています。

実はこれ奉仕!無料!

僕がライターを始めて約30年に渡り調査してきた大事な大事なものです。でも無料!本当はもっともっと飲食店などの情報や時代の解説などがあるのですが、さすがのなんぼでも~なnoteでもそこまでは入らいないという量なので自身で割愛。いやー大変だった。

なので触り程度になるのですが、それでも結構読み応えあるのでは、と思います。

昨日アップデートしたばかりなのでたくさんの反響をいただいていて、自分でもちとびっくり。

今はなんでもかんでも「スパイスカレー」という言葉が独占してしまっているので、ここであらためて俯瞰してみたらどうかなと思い公開しました。

僕が90年代に「スパイス」という言葉を意識して用いるようになったのは、それまでは香辛料という言葉で、それを言うとすぐになんでもかんでも「カレー」になってしまうのでそれを避けるためでした。でも、なぜか「スパイス」と「カレー」がくっついちゃった(笑)

あ、お間違いのないように。スパイスカレーを非難しているわけではありません。むしろスパイスがより大衆化して、僕にとっては話が楽になりました。普通の人に話せるようになったから。

というわけで今一度スパイスという言葉について、冷静に俯瞰し、大阪との実際の関係を知っていただければと思います。

note『大阪スパイスカルチャー』

SNSやらあれこれ

最近、情報ツールが増えすぎてアップアップの窒息寸前です!

って前から言ってる気がするけど(;'∀')

みなさんはやってますか?SNS

インスタやツイッターやFBや。他ブログやなんやかんや。

僕の場合はそこにお世話になっている出版社などのサイトの紹介も入ってくる。

個人のコミュニティに広告はないだろう!という人もいますが、それがレシピの場合、クライアント様のオーダーによってつくられたものであっても確かに個人的感性があってのことだから、オフィシャルと言えばそうだけど個人とも言える。

いや~ややこしい時代ですね。

さらに僕の場合は同じSNSでも、スパイスジャーナルのツイッターやFBも僕一人しかやる者がいない。いや、元々は他の人がやってくれていたんですよ。

でもなんだかんだでみんなうまく逃げていく。結局逃げようがない隠れようがない僕がやるしかなくなるのです。

現在このブログを含めると7チャンネルのツールを切りもりしています。

というわけで、ここであらためて皆さんにわかりやすいように整理してみたいと思います。

 

【カワムラケンジ個人のアカウント】

当ブログ・・・更新頻度はニブイ!ほかのSNSとの連携がない、というかできない!

FB・・・できるだけ小まめに更新しているつもりです。ニブイと月1~2回。頑張って週1回という感じ。インスタと使い分けることが多いです。

インスタ・・・今まで月1~2回の更新でしたがこれがいろんな方からお声があり、最近はできるだけ更新するように頑張ってます。出版社などのレシピ情報があるとまずこちらに告知。でもリンクができないことがわかり、どうしたものかと思っています。結局、リンクをはって誘導しなきゃいけないものはFBになるのかなと思いつつあります。。

ツイッター・・・現在これが一番プライベート純度が高いです。フォロワーも本当につながりのある方がメイン。

note・・・かなりルーズでしたがいろんな方から叱咤されて(笑)最近はちょっと頑張りモードです。

最新マガジンは【カウンターの隣席】。第一話「町の灯り」を2/19に更新しました。カワムラケンジ全体としてはこのページをご覧ください。それなりにこつこつとマガジンを打ちたてています。

 

【スパイスジャーナルのアカウント】

FB・・・スパイスジャーナルのアカウントです。半年に1回?という超亀な更新頻度です。

ツイッター・・・FBよりは更新しています。出版社などのサイトでレシピ更新があった場合はリンクを張るようにしています。が、しょっちゅう漏れてしまう(;'∀')すんませ~ん。

 

【最近のレシピサイト】

モノクロ360Life・・・素材とスパイスの組合せや配合パターンなどについて監修しています。レシピはカレー一点。

あまから手帖オンライン・・・畑や仲間の話を盛り込みながら、今日の家庭で使えそうなスパイスレシピ(ノンジャンル)を提案しています。

以上です。ややこしくてすんませ~ん。

連載「カワムラケンジのスパイスな一皿」

オンラインでの連載が始まりました!こっちの都合出し(結果不定期)ちゃいますよ、月刊です、いちお。

ウェブでの連載は縛りが少ないですからね~。でも今回の連載は関西が誇る老舗グルメ雑誌あまから手帖のウェブサイトです。

なにやら今夏9月から大々的にリニューアルしたそうな。そのリフレッシュコンテンツの一つに僕の連載も参加したという流れなのかな。

タイトルは「カワムラケンジのスパイスな一皿」

毎回何か一つのスパイスを用いたレシピ&エッセイです。

そう単なるレシピじゃないんですよね~。もちろん僕のレシピはどっかのパクリやつぎはぎコピペではなく、すべて自身が捻出した一次データであることはいつも通りです。

でも、今回はエッセイとの二本柱であるのがポイント。

僕は元々リアルタッチが得意なライター。人のものを盗むという感性が元々ゼロなんです。自身の経験、行動、視点からでしか書くことができない。

なのでわかる人が見たら共感してくださる可能性が高く、わからない人でも面白がってくれることが多いみたいです。そのおかげで今まで30年近く物書きを続けてこられたのだと思います。

その中で、もっとも僕の感性を理解し、上手にコントロールしてくれる編集者がなかもっちゃんという、雑誌業界では言わずと知れた名編集者です。

なぜ彼女が名編集者になれたのか。それは人を見抜く目が鋭いことと、常に入れ込み過ぎず客観的に見る力があること、そして何よりも彼女は飲食業界のすべての「人」を愛しているということです。これに尽きる。

決して、この会社にいることが他者よりも優っているというステータスがあるとか、生活安定のために健全な企業だからとか、誰よりも飲食店を知っていることをひけらかしたいとか、そういったダサい人ではないのです。

とにかく彼女は飲食業界「人」を愛してやまない。だからそこにランクもない。汚い小屋のたこ焼きのおっちゃん、ガラの悪い屋台の兄ちゃん姉ちゃん、下町の食堂、若い経営者のカフェ、星が付くような高級和食からレストランまで隔たりがないのです。愛しているからそんなの関係ない。

極端な話、少々アホでも、文字や言葉を知らんでも、写真も下手でも、そんなことどうにかなるんです。一番の肝があれば一流のプロになる。そのことを彼女は生きながらにして証明してますね。

そんな彼女から今回声をかけていただいたのだから、内容やルールがどうであれ僕は断る理由がない。

そうやってできたのがレシピ&エッセイです。

現在すでに3話目まで進み、担当は若い女性編集者がやってくれてますが、少なくとも近所の人、犬友、畑仲間など僕の回りではめちゃんこ好評です。

一話目が難しかったからもっと簡単なのにしろとか、インド料理をやってくれとか、たまには難しいのも入れて、とか、まぁさすがほぼ全員が女性なので、らしいご意見がバンバンと飛んでくる。これ、飲食店をやっていた時代とまったく同じ。僕がやる店はなぜかどこも正直に言ってくれるお客がたくさん集まってくる。店をやっていない今でもどうもそうみたい。直接お会いしたことのない読者も増えていくとこれほど嬉しい話はないです!

僕はSNS、ブログの扱いがまったくなっていない(いちおは頑張っているつもりだが!)アナログ人間なので、こうやって編集者や雑誌社が敷いてくれたレールのおかげでなんとか行動できています。共に活動してくれてるみなさんにもベリー有難う!

ぜひご覧ください!

「カワムラケンジのスパイスな一皿」

カワムラケンジとはこういう人間です!

なぜあらためて自分の話をするのかと言うと以前、料理TV番組「NHKきょうの料理」に出していただいてしばらくたった頃に、郵便局へ行ったら職員の方からこんなことを言われたからです。

「お店へ行ってきましたよ!箕面のスパイス料理研究所」

いやいや、僕は現在お店はやってませんよ!それ2007年の話。で、やっていたのは『スパイス料理研究所club THALI』という屋号です。その店の名はなんですか?

「いやぁ詳しいことは覚えてないです…そこカレー屋さんでした」

僕はいろんなスパイス料理をワンプレートに載せて提供するスタイルです。それをインドの言葉でターリーと言います。

「そんなんじゃなかった…」

でもおいしかったんでしょ?だったらそれはそれでよかったですね!

「ふふ、そうですね!」

と、このように街だけでなく、同じ料理研究家業界でも一時期東京の何人かからおもくそパクられまくりのベンチマークされまくられていました。

なわけで、ここであらためてカワムラケンジのことをお伝えしたいと思った次第です。

 

カワムラケンジがやってきた5つのスパイス系の事業(年代順)

(1)『スパイス10割石臼自家製粉カレー P AGE HILL』・・・1997年、スパイス自家製粉の店。今でいうスパイスカレーの原点ともいえるカレーのランチ限定ショップ(料理法はあくまでインド料理)。大阪・箕面の古巣「P AGE BAR」で間借り開業。1998年2月、松阪転居に伴い終了。

(2)『THALI』(ターリー)・・・1998年夏、三重・松阪で独立開業。店名はインドの定食を指す。それまでインド料理と言えばカレーライスばかりだったことに対して、もっともっと幅広くて奥深い世界だということを伝えたくてこの屋号に。2001年1月にクローズ。その後、大阪へ戻る。

(3)『スパイス料理研究所 club THALI』・・・2007年、大阪・箕面に開設。書斎とキッチンを併設したことでこの名前を思いつく。当時は料理研究業、調理撮影、著述業をしていた(今も同じか!)。毎週日用のみ食堂に。本業(料理研究・著述)の傍らでの営業のため屋号を『club THALI』とする。翌年夏、カミさんが大病を患いクローズ。

(4)『club THALI online』・・・2008年に開設したオンラインショップ。1998年『THALI』の味を基本としたスパイスキットやガラムマサラ、チャートマサラ、チャイセットなどから販売開始。現在継続中。

(5)『Spice Journal』・・・2010年3月創刊。当初は季刊、3年目より年3回刊、スパイス付録付き、定期購読システム、A4判型、中綴じ後に無線綴じ。スパイスのみをテーマとし、旅、レシピ、薬学、栄養、ヨーガ、漫画、イラスト、人、メニュー、農、スパイスそのもの、など多岐に渡る。すべて英語バイリンガル。手売りで定期購読を募ることから始め、半年後にラジオ(J-WAVE)で取り上げられたことで一気に読者が爆増。何軒かの書店でも扱ってくれることに。2022年12月現在、実売総計32000部超え。

 

僕カワムラケンジはこんな顔です!

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僕カワムラケンジの特徴

A.僕の編集企画や料理のアイデアは、あくまで自分が経験してきたことの中から生まれます。例=おふくろの介護→おうちでできる優しいスパイス料理、子供や年配者が楽しめる柔らかなスパイス料理

B.極度のオリジナル志向です。意図してやっているのではなく、子供の頃から興味を持った物事にひたすら夢中になってしまう体質なのです。逆に言うと興味のないことにどうしても集中できない。なので小学生の頃から、国語・社会・理科などの授業中は深いこん睡状態に陥ってしまい、先生に怒られるのである頃から一人で絵を描いたり彫刻をし続けたら、もっと怒られるようになりました。小学生時代に作ったものは机上のゴルフ場、全教科書の上下前後4テーマのペラペラマンガ(友人の教科書も)、似顔絵集、月刊マンガ「おやじの仮面ライダー」など。中学時代は外タレの音楽に自分の声やエレキギターの音をミックス録音した奇妙なテープを無数に作成。高校時代は8㎜映画2本。図画工作、美術系、そして英語だけは常に学校でもトップクラスという不思議。

C.流行に疎い、らしいです。なのでトレンドの群れの中に常にいない(笑)

以上です。ここまで目を通していただきありがとうございました!

 

カワムラケンジのパーソナルサイト「Kawamura Kenji」

SNS

1.カワムラケンジ プライベートのツイッター「カワムラケンジ(Spicejournal)」

2.スパイスジャーナルの公式ツイッター「スパイスジャーナル」

3.カワムラケンジ プライベートのFB「河村 研二」

4.スパイスジャーナルのFB「Spice Journal」

5.カワムラケンジのインスタグラム「kenji_spice」

『THE KURATA PEPPER』発売!(12/16補足あり)

皆さんご存じでしょうか!?クラタペッパーを。

僕のブログやSNSをご覧になってくれてる方はもうご存じの方が多いかと思います。

最近ではアウトドア雑誌BE-PALのウェブ版でも何話か続けて書きましたし、大阪の老舗グルメ雑誌「あまから手帖」にも。

あ、そういえばつい先日「anan」でも紹介したっけな~

あれあれ!ちょっと待って!そういえばいつぞやANAの機内誌「翼の王国」にも!

それにラジオでも言ったことあったっけ!!

なんや~僕が一番のファンかもしれませんね(^^;)

まだご存じない方、よかったらこちらでも読んでみてください。

BE-PALのウェブサイトにあるカワムラケンジのパートです。さらに一番下に我が『Spice Journal』FBにもクラタペッパー写真アルバムがありますのでこちらもよければ。★最近『SpiceJournal』模倣本が出回っているらしいのでご注意ください!

 人類史上最強のスパイス「胡椒」を求めカンボジアへ

 なぜカンボジアで胡椒なのか

 カンボジアのクラタペッパー農園で摘んだ緑胡椒で料理する

 カンボジアのクラタペッパー農園で摘んだ緑胡椒で料理する2

 Spice Journalクラタペッパー写真アルバム

クラタペッパー代表の倉田浩伸さんの魅力は尽きることがありません。それほど何度書いても飽きがこない方なんです。

そして何よりとてもご縁も感じます。今回、クラタペッパーさんが上梓されたのは小学館。実は先述のBE-PALも小学館なんですね。

今思うとそもそも倉田さんとの出会いが共通の知人からでした。その友人はテレビカメラマンの仕事を辞めて、しばらくスチールのほうで作品を溜めて、傍らでネットデザインをやったり。当時の僕のホームページも彼に作ってもらいました。

で、その後突然、何かに憑かれたかのようにカンボジアへ移住してしゃにむにボランティアをやりだしたんです。

その時に倉田さんと知り合いになったようでした。

でも、それが何で僕とつながったのか、というと、これまた東京のある編集者の一言があったからなんです。テレビかなんかで、カンボジアで胡椒を育ててる日本人がいるとかで、当然カワムラはそのこと知ってるよね?となって、いやそんなの初耳です、と返したら、そりゃ大事件だ!となって、ほんまやな~と。

それから元カメラマン君に、倉田さんてまさか知らんやろ?と尋ねたら、いやそのまさかです、と返ってきた。うぉぉぉぉ!となって、しばらくしてから会いに行ったんです。

その時に密着取材させていただき、当時僕が主宰していた日本初のスパイス専門誌といわれた『Spice Journal』(最近模造品が出まくってるらしい!)vol.14で特集を組んだのです。

これをきっかけにして、あちこち書くのはもちろん、僕自身の料理にもばんばん使うようになったし、イベントに行くときも肌身離さずもっていって、参加者の方々にも話しまくり。

これはもうほとんど無意識の行動ですね。

あぁまた話が長くなってしまった。

というわけで、本の詳しいことを何にも話せてないけど、ぜひ一度手に取ってみてくださいよ。

僕のエッセイ2本と写真もなかなか使っていただいてます。レシピのパートはちゃんとスタッフの方が制作していて、僕の写真はイメージ的なところに使用されています。

12月20日発売!小学館サイトで先行予約もやってますよ!

『THE KURATA PEPPER』

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最近は本とネットに出ています

ご無沙汰りんこの、こなさんみんばんは、です。ふるい?

おそらくみなさんも同じことと思いますが、時間が経つのが早すぎます💦 特に東日本では19日の猛烈台風の被害で大変な時に、僕はずずずっと相変わらず地味&小さいことをこつこつと、あ~んどカミさんやおふくろのサポーター(以前よりは楽になったけど!)、黒柴のクロの御守りをやり続ける毎日です。

でも、体重は2キロ増量されたのでやっぱり楽になったのだと実感。結局自分が御守りをしてるつもりが、みんなのおかげで今日の自分があるんでしょうね。いやはや、お恥ずかしい。日々、感謝です。友達や仕事仲間、これを読んでくださってるみなさんにも感謝してます。ありがとうございます!

で、ここんとこのお前の仕事はどーなんだ!?と聞かれればですね、最近はまず、「男の料理完全ガイド」というムックにカレー監修担当として登場しております。これは以前参加したレシピムックからの転用のようですが、ちょびっとだけレシピが改良されております。そんなもん前に買ったで~という方も、立ち読み、いやいや、やすい本だから!ぜひワンモア―ご購入くださいませ!(笑)

あとは、前々から忘れた頃にアップデートされるBE-PALウェブサイトも10/11に更新しました。カンボジアのクラタペッパーさんのことを4話続けてまいりましたが、3話目と今回の4話目はクラタペッパーで育った緑胡椒(フレッシュペッパーコーン)を使った料理の提案です。

緑胡椒は加熱や酸化に弱い、とてもデリケートなフレッシュスパイスですから、簡単であればあるほどその魅力が楽しめるわけです。大層に考えてはいけません。

こんなもの日本はおろか、殆どの国で入手が困難。でもクラタペッパーさんはカンボジア西部の農園から首都プノンペンに直送し、若い女性スタッフたちによる厳しいチェックを経て、洗浄、加工を施し、速やかに空港へ出荷。日本国内でも検品で1日余分にかかってしまいますが、それでも美しくぷりりとした輝きは残っていまして、鮮烈なかさらなのに後口は颯爽と抜けていく緑胡椒特有の爽快感を味わってもらえると思います。

もちろん、フレッシュに媚びず、時間軸を越えたおいしい緑胡椒の楽しみ方を見出すこともできるかもしれません。僕が考えたのはトマトとペッパーのジュレ。これはマリネにしますので、1か月経っても美しい緑色と鮮烈な辛み、香りが残っています。

そのレシピを今回4話目に包み隠さず書き記しておりますので、ぜひぜひご参考にしてください!

NHK「きょうの料理」 3つのスパイスの理由

3/20・21日放送分「NHKきょうの料理」にて、スパイスで春野菜をおいしく、という話をさせていただきました。
 
3/20 NHK Eテレ 本放送 午後9時~9時25分
3/21 NHK Eテレ 再放送 午前11時~11時25分
 
今回選んだ3つのスパイス詳細と理由をここで述べておきたいと思います。
 
まず共通して言えること。それは、おそらくご近所の庶民的なスーパーで簡単に手に入るであろうということ。
 
スパイスは流通が多く実用しやすいものでざっと30種類ほどあります。あーだこーだと細かいことを言うと100種類。非現実的な珍しいものや限定的なものも含めると200種類ともいわれるほどめちゃんこたくさんあります。
 
そんな中でこれは本当に誰でも使える、実際に実用頻度が高いのが今回ご紹介した3つです。それでは下記に列記していきましょう。
   
ターメリック  
南アジアなどでカレーといえばまずこれ。黄色の素ですね。衣料や食品を染めるだけでなく、結婚式や魔除けとして全身に塗ったりアーユルヴェーダという伝統医療で創傷や胃薬、赤ちゃんのへその緒のケア、風邪の時の喉の薬としても使われます。
 
味としてはよく本などに苦味があると書かれていますが上質なものは苦味は殆どなく甘いです。これは正確にはターメリックの種類が理由にあります。いくつもあるうち調味料としてふさわしいのはいわゆる秋ウコン。色味が明るい黄色でえぐみが少ないのが特徴です。健康トークでよく耳にするクルクミンももちろん入っていますが、それは他の種類の方が含有量は多いようです。でも多くの南アジア人はこれを薬としても多用しているのは事実です。
 
料理方もおそらく最も幅が広く、煮物、汁物、炒め物、揚げ物の下味、肉や魚介の抗菌剤などとして使います。
 
どこでも売ってる上に安価なのも魅力です。なので出来るだけちゃんとしたメーカーのいいものを購入しましょう。いやはや、やっぱり長くなっちゃいますね。次!
 
クミンシード  
ここはNHKのスタッフとの間でもいろいろ話が盛り上がった部分でして、どこでもあるのかと。実は最初この部分はマスタードシードを僕は選んでいたのですが、それはないでっってことでこれになりました。これはターメリックよりもはるかに広い国々で使われていて、アフリカ、ヨーロッパの一部、中近東全般、中央アジア、南米一部などなど。使用頻度はアジア?中近東が最も多いようです。
 
香ばしく、これこそ苦味がありますので、単体で使うときは少量がいいですね。でもエキゾチックな風味がするので、食味としての変化は最も感じやすいスパイスです。
 
よくインド人たちの間では、胃薬としても使われていて、ひどい下痢の際には軽く潰して白湯で飲んじゃいます。またなんとなく不安があるときもこれを意識的に使用します。料理は煮物、炒め物、汁物、揚げ物ぜーんぶOK
 
下味にも使います。果物や飲み物にもよく使います。
 
シードだとつぶつぶ食感が楽しめるのと、都合に応じて粗つぶし、包丁で切る、ミルなどでパウダーにするなどして自由に使えます。ただパウダーの場合は味香り共にとても濃厚になるので好き嫌いが分かれるかも。最初はひとつまみ、1人前の料理なら小さじ1/4もあれば十分です。
 
もしかしたらスーパーにパウダーしか売ってないかもですが、その場合はパウダーを買っちゃってください。で、最初に油で炒めずに、いつもの塩胡椒の感覚で野菜を炒めている最中に2、3回(2人前なら小さじ1/3?1/2)入れてください。多いなと感じるかもですが、そう言うときは仕上げにレモンにゃライムを多めに入れると中和します。
 
粗挽き黒胡椒  
これこそ世界で最も使われているスパイスです。が、今回はあえて粗挽き黒胡椒に。最たる理由はストライクゾーンが広いから。パウダーだと粉っぽかったり辛くなりすぎる可能性があります。完全なホールでは使いづらいし。ミルをお持ちならいいのですが、意外に皆さん持ってない気もするということで。
 
これもまた、つぶつぶ食感が楽しめるのと、なにより視覚的にも、あースパイス入ってるなーと感じることができます。
 
スパイスの魅力って味や薬効だけじゃなく、こうして「見る」というのが実は大きいと思うのです。食べるだけじゃなく、見る、触る、食感、次に香り、味わいという感じ。
 
スパイスはすべて自然界にある植物の乾燥品。見るだけで、触るだけで元気をもらえます。だから食べるだけでなく、料理するのも楽しいのだと思います。
 
あと胡椒は辛味はそこそこ、旨味を増幅させてくれるのが魅力です。これは胡椒の持ついくつかの抗酸化物質やその他の成分がなせる技。粉末かホールか、その時々で使う状態によっても違いますが、早ければ1分でその効果は出ます。長くても10分ほど。ようするに炒めものからスープ料理までバッチリというわけです。
 
チリは入れすぎると修正が難しいですが胡椒ならストライクゾーンが広いから安心。そもそも数百年前までは世界各地が辛味といえば胡椒だったわけですから。栽培が難しいのと流通リスクが高いのとで、ある時代から栽培も流通も容易なチリ(唐辛子)にその座を奪われるような形になったという言い方をする人もいます。
 
あと薬効もありますが、長くなるのでまたの機会に(´∀`)
 
胡椒については、僕が主催してきたスパイスジャーナルというミニマガジンの14号が胡椒特集だったのですがすでに完売していて入手困難状態に。ターメリックはスパイスジャーナル02と07に、クミンはスパイスジャーナル03と09に詳しく書いています。
 
スパイスジャーナル取扱店情報  
よければ幻冬舎から出ている「おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック」をご参照ください。使い方、ヘルシーの理由、本場の人々の習慣などを書いてます。字が小さいやん、という方は電子も出ていますのでそちらを(^O^)
 
ってことでぜひぜひこの3つを生活の友にしてみてください!

スパイスカクテル

実はカクテルもスパイスをアレンジしていける分野だとかねてからそう思っています。

ま、もともと多くのお酒がスパイスを取り入れて作られています。ビールや蒸留酒、リキュールなど実に幅広いところで。

カクテルとは、素材をアレンジして創るドリンクのこと。

アルコールベースのものもあれば、フルーツベースなどノンアルコールもありますし、素材をミキシングするパターンもあればそのままごっそりと飾り付けるパターンもあります。

また、ファッション性を楽しめるのもカクテルの楽しい部分です。シンプルであっても色合いを工夫しているとか、グラスがユーモラスだとか、時に飲食物以外の飾りをつけることもあります。

カクテルは料理と同じく、基本はあれど独自の創作性が楽しめるゾーンですね。

僕は16歳(1980年代前半)から生ビールを注ぐことと日本酒の表面張力。20歳過ぎ(1980年代半ば)からはペーパードリップの珈琲とフルーツドリンク、ドイツワインを。26歳(1990年代前半)からはウィスキーやカクテルをサーブする仕事をしてきました。

飲食道ざっと足かけ16、7年の中で見えてくるカクテルの大きな魅力に、空間との協調性、ファッション性、お客さんの体調への順応力、というのがあると思っています。

飾り付けや華やかさ、意外性は重要な要素ですが、時としてお客さんは、悪酔いや胃もたれなど体調がすぐれない瞬間もあり、そんなときに対応できるのもカクテルの力だと現場の中でそう感じてきたわけです。

そんな現場の中でこそ培ってきたパターンの一つにジンジャーがありました。当時は薬効的には今ほど深くは理解していません。

どちらかというと口あたりや風味に期待しての利用です。これのヒントになったのはジンジャーエールを手造りしていたり、ウォッカとジンジャーエールのモスコミュールにフレッシュジンジャーを入れるバーがあったこと。

既製品でも十分おいしいのですが、フレッシュを使うとまた別世界の魅力が広がる。その活きた感じはやはりハーブならではのものなんですね。

これにすごく感動して、自分でもいろいろ作りました。

1995年頃でしたでしょうか。当時、東京のFM番組内でカフェカッタリーナ(亀田製菓提供)というコーナーがあって、そこでもスパイスハーブを使ったカクテルをたくさん創出しました。

これらの共通したコンセプトは、すべてリアルから生まれていること。魅せるために、人の注目を集めるために、情報操作するために作ったのではなく、全部お客さんとのやり取りの中で生れた超リアル、スーパーアナログのレシピばかり。

これは料理も同じことで、僕が昔から一貫しているテーマというか、結果的にそうなっちゃってるというか。

そんな現場の生まれ育ちなので、ある意味では保証付きともいえます。そこが普通の料理研究家と違う点かもしれませんね。

スパイスカクテルの提案も、新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』で提案させていただきました。

現在、幻冬舎plus「はじめてのスパイスブック」お試し電子版でもご覧になれますので、ぜひ一度お立ち寄りください。

ページの後半には「リンゴのスパイスコンフォート」も載せています。これはいろんなやり方がありますが、今回はあくまで家でやれるスパイス生活なので、そのイメージで。

形が崩れかけたところで火を切ってください。よく水分を飛ばしておくことで、日持ちもします。またパンに塗る、ホットサンドにしたりと二次的な使い道が広くなります。

もちろん、形を残して、そのリンゴをストレートにパクパク食べるのもありです。

前者のジンジャーカクテルは欲を言えばメープルシロップ(シュガーも可)がベター。甘みにコクが加わります。

コンフォートは赤ワインやバターがなくても十分おいしいのが作れます。ここもしいて言えば砂糖にこだわりたいところ。好みのいろんな砂糖で試してみてください。たくさん作ってガラス容器などに入れて保存が可能です。

ほなそういうことで。

カワムラケンジの総合的な情報は公式パーソナルサイトをどうぞ!

22 以前「レタスクラブ」でパインヨーグルトカクテルを提案したことも

 

 

体調管理にぜひご活用いただきたいスパイスレシピ

僕が主宰していた『スパイスジャーナル』というミニマガジンには、スパイスそのものをテーマとしたこと、英語と日本語との完全バイリンガルにしたこと、スパイス文化圏の国々へ冒険にでかけることなど、当時では斬新な仕掛けをたくさん詰め込んでいました。

スパイスという言葉、かつて僕が店の屋号に用いた『ターリー(THALI)』という言葉などは、今でこそあちこちで見受けるようになりましたが、当時は最も流行らない言葉、誰もピンとこない言葉、一部の人しか知らない言葉として書物や電波では避けられてきた言葉でした。

そんなニッチで陽の当たるはずもないと言われ続けてきた言葉を用いながら、中身も斬新な仕掛けを詰め込んできたわけです。そのキーワードのひとつに、健康、ヘルシー、がありました。

僕にはすでに確信がありました。

『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』の前書きにも書きましたが、1998年に打ち上げたインド料理店『ターリー(THALI)』(三重県松阪市)で、いやというほど体感し続けていたことが大きなバックボーンとなっています。

それまでも体験し続けていましたが、周囲のインド人やネパール人たちの影響と言うのが大きくて、ライターをやっていたこともあって日々色んなものを口に入れてましたから、そんなに明確に実感することは多くなかったのです。

でも、『ターリー(THALI)』を始めてからは、ほぼ毎日まかないにスパイス料理(インド料理)を食べ続けているわけですから。

店ではベジ(インドのラクトベジタリアンのレギュレーション)とノンベジ(インド、特にヒンドゥ教徒の肉を食べる人々のレギュレーション)の大まかに2種あって、やっぱり先にノンベジがなくなるんです。

つまり、おのずと僕が食べることのできるのはベジとなります。

当時、野菜はかなりの率で、愛知県の親戚が育てるオーガニック&無農薬野菜を使っていました。で、これがなかなかにおいしい。

ベジターリーの内容は以下の通りです。

季節野菜と豆の煮込み(ま、野菜カレーです)、野菜少しと豆とタマリンドのスープ(南インドのサンバル)、サブジやポリヤル(北南インドの副菜)、オリジナル・インド産双方のアチャールやピックル、ライタ、ライスかチャパティかロティ。たまにベジサモサ(薄皮タイプ。南インド系)もやりました。

この食べ方は、そのまんまインド人の食卓なわけですが、これが体調がよくなるのなんの。

最も特徴的なのは、まずお通じがよくなります。で、便の匂いも変わる。そして肌がつるつるしてきます。ま、男はどうでもいいけど。さらにさらに身体が軽くなる、というか動きがよくなるというか。

これらの経験は、店をクローズして大阪に戻ってきてからも続いたというか、尾を引いたというか。

2001年、再びライター業に戻った僕は、有機野菜の食品会社のコマーシャルを担当したり、今でいうスローフードの土地や人々を追う連載をいただいたり、ゴマをテーマとした料理番組の構成台本を担当したり、ますます食の深淵に入り込んでいました。

が、例えば瀬戸内の小島を転々と1週間もかけて旅をしていると、便通は止まるし、肌にぶつぶつが出てくるし、なんだか身体が熱っぽいというか火照ってくるし、思考は極端化していくなど、体調が悪くなっていくんです。

で、これはもしやと思い、大阪に戻ってから今まで自分が作ってきたターリーのようなものを作って食べると、すぐにまたいい体調に戻るんです。

でも、原稿などで徹夜が続くと、やっぱりラーメンやデリバリー、インスタント食品などに手を出してしまう。これが最悪な結果を招きます。ほぼ必ず深夜2時や3時なんかに激しい腹痛に襲われ七転八倒。

応急処置として、クミンや胡椒、クローブを口に含んで、とにかく白湯を飲みまくる。するとこれまた30分もすると、血の気が戻ってきてなんとかクリアするのです。

だから僕にとってスパイスというものは、おいしい料理の立役者であることはもちろん、体調管理に欠かせない何よりものお守りのような存在でしたし、今もそれは続いています。

アーユルヴェーダ、インド人たちの言い伝えを100%鵜呑みにはしてないけども、このような「Good for Helth」な体験がバックボーンにあるものだから、スパイスジャーナルはもちろん、他にもいろんな媒体で「Good for Helth」を書き続け、最近では幻冬舎から『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』が出たわけです。

7/28は電子書籍を扱う幻冬舎plusから、第十一話『生活習慣病対策におすすめ!そぼろマサラのレタス包み」が公開されました。

これは、いかにもなことを言ってるだけではないのです。スパイスジャーナルでは、近畿大学の薬学部や薬学博士、薬剤師など専門家たちともタッグを組んで、様々な謎に迫ってまいりました。

その中で、管理栄養士のコムラショウコさんにも、栄養評価を分析してもらっていたのです。

5年間全18巻の刊行で僕が公開したレシピはきっちり100種類。そのうちの殆どに、コムラショウコさんの栄養評価がついています。スパイス料理はヘルシー。いや、正確には僕がテーマとしてきているのは、ヘルシーなスパイス料理。そのことを伝えるために、アイデアもやり方も一貫しています。

僕が本格的に食と健康を具現化しだしたのは23歳のとき、高級スポーツクラブでのことですが、その時代から20余年をかけさらに磨きをかけてスパイスをテーマに栄養分析したわけです。

コムラさんとはスパジャーを刊行するずっと前からの付き合いで、彼女はずっとスパイスと健康の関連性を認めてくれていました。それがスパジャーで実現できたというわけです。

正直言ってスパジャーでの栄養評価については、同じ専門家の方、あるいは持病をお持ちでご自身で制限されている方にしか気づいてもらえませんでした。

でも、こうしてようやく一般大衆の前に「Good for Helth」をお披露目することができてとても嬉しいです。

写真は、2011年12月にだした、スパイスジャーナルvol.08のクッキングページです。

今出ている『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』(P97。電子版7/28UP分)と、スパイスの種類は少し変えていますが、材料は同じです。

約400キロカロリー、食塩相当量約0.7g、カルシウム約75㎎などなど。本誌では毎回、コムラショウコさんの一言アドバイスも入れてます。機会があれば、ぜひスパジャー本誌もご覧になってみてください。

マニアックと言われ続けてまいりましたが、そろそろ陽の目を見る予感!

食事制限が必要な方、単純に健康管理に興味のある方、ぜひ活用いただければ嬉しいです!

Soboromasala

 

なぜこの本を書いたのか!?僕の思い

新刊『おいしい&ヘルシー!はじめてのスパイスブック』とはどういうものか?

薬効読本6割のレシピ4割という具合でしょうか。

最近、書店などを見て回っていると、ほとんどは「アジア料理」「インド料理」「カレー」の棚に置いてありますが、ちょいと違います!

前著『絶対おいしいスパイスレシピ』がそのイメージに近かったですが、今回は一言で言うと健康本です。

キーワードとしては以下の感じでしょうか。
 「食生活」 「アーユルヴェーダ」 「伝統医療」 「食と健康」 「健康レシピ」 「生薬」 など。

もし、書店様等で、新しくカテゴリーを作っていただけるなら「スパイス生活」「ヘルシースパイス」「健康スパイス」なんかがありがたいです。

スパイスという文字が前に来ると、どうしてもカレーやインド料理に思われがちですが、それは10%程度です。

インドやカレーの枠に縛られないがために「スパイスブック」という題にしました。どうぞ、そちらに引っ張られないようにお引き立て頂ければ幸いです(◎´∀`)ノ

よろしくお願いします!

さて、今回はこの新刊を3年半もかけて書くに至った理由を述べたいと思います。

6月にも一度、似たような話をさらりとしています。が、今回はもっと食い込んだ話を。とはいえ、朝から4,5時間もかけて、何度もペンを走らせているのですが、どうしても長くなってしまうので省略していくと、やっぱり本書の「まえがき」に行きつくのです。

我ながら、Oh!やっぱり研ぎ澄まして書いただけのことはあるな~(*゚▽゚)ノなんてね。

あえて本書「はじめに」に書かなかった、より深いバックボーンがあるとするならば、それは僕が中学2年の時すでに「食と健康」というテーマをもっていたということです。

14歳の時に親父が急逝したことが、あらゆる意味で人生のすべてを変えました。親父が44歳という若さで死んだのは「仕事のストレスと偏った食事にあった」と、周囲の大人たちはそう言い続けました。

以来、「食と健康」というキーワードが僕の骨の中にまで染み込んでいったのです。

その後20歳を越した頃に2歳年下の従妹が腎臓病を患い、おばさんから腎臓を移植。僕がやる店にも医療関係者や持病を抱えている方がすごく多く、いつしかスパイスによる健康サポート術は僕にとってミッションとなっていきました。

そういう意味で、僕にとって「食と健康」というテーマは人生そのものです。

ということで、ここであらためて「はじめに」をどうぞ。すでに拙著をお持ちの方はヘラヘラと、読んでいない方はグイグイとご一読ください。
 
Simg_1043 気温43℃の中、ココナッツジュースで涼をとるインド人たち(ジョドプールにて)

「Good for health!(グッド・フォー・ヘルス)」

 この言葉をどれだけインドや周辺諸国の人々から耳にしてきたことかわからない。彼らにとってスパイスとは健康に役立つものであることは、あまりにも常識的なことなのだ。

 僕はこの20余年でインドや周辺諸国の人々と食を介してのご縁に恵まれた。その中でも印象的だったのが、彼らが当たり前にその日の気候や自分の体調に応じてスパイスを使い分けることである。大げさな話ではなく、例えばスパイスをそのまま口に含んだり、チャイに入れたりという簡単なことだ。梅雨で蒸し暑い時はグリーンカルダモンを頬張り、胃の調子がいまひとつのときはクミンをお湯で飲み、お腹を壊したら胡椒やクローブを茶葉と共に煮る。もちろん、料理もある。誰かが風邪を引いたら、いつもより唐辛子やシナモンを多く入れ、便秘になればアジョワンやゴマを入れる。これらすべてが「グッド・フォー・ヘルス」なのだ。

 本書は、そんな彼らの日常の中にある「グッド・フォー・ヘルス」をテーマにスパイスの解説やレシピを提案しようというものである。

 僕がスパイスの魅力に目覚めたのは、20歳の頃だった。さらにスパイスによる身体への影響を明確に体感しだしたのは1998年にインド料理食堂「THALI」を開店してからだ。
5坪の小さな屋台のような店で、毎朝8時から深夜2時まで働き尽くめ。そんな生活の中で、僕は咳が止まらなくなったり、急に寒気がしたり、お腹を壊したりするようになっていた。

 そんなときに我が身を助けてくれたのがスパイスだった。僕はインドやパキスタン、スリランカ、ネパール出身の友人が多く、彼らが当たり前のようにスパイスを使った健康法を行っていた。こう言っちゃなんだが、彼らが言うことの9割はアヤシイ。しかし、体調不良が続くなかで、どれだけ怪しかろうが彼らの話を信じてみようとつい魔が差してしまったのだ。彼らの付き合いのよさも功を奏した。普段は胡散臭いくせに、深夜に困って電話をするとあっさりと出てくれる。

 また、毎日のまかないにも助けられた。ほぼ毎食、豆と野菜と漬物とヨーグルトである。これはインドやネパールの友人のまかないやプライベートの食事とほぼ同じだ。最終的にすべて混ぜて食べるのだが、この素朴でありながら刺激的なメニューは飽きがこない。スパイス料理は辛い物ばかりではない。実は身体にやさしく、お腹いっぱい食べても胃腸に堪えないのである。むしろ、ますます食欲がわいてくるほど。お通じもよくなり、体調もすっかり回復した。僕はいつのまにかスパイスによって体質がかわってしまったのだと確信した。

 それから数年後、店を閉めて大阪に戻り、ライターとして活動を始めた僕は、多忙に身をまかせ自炊もままならず、再び体調不良になる日が増えていった。

 そんな矢先である。カミさんが大病を患ったのは。ガンだった。知り合いのアーユルヴェーダや漢方の専門家にも相談した。しかし「ガンだけは治せない。あくまで予防にとどまる」という答えだった。カミさんは長期の入院生活に入り、僕は仕事をすべて止めて共に戦う暮らしとなった。

 結果的に、そのことが人生のリスタートになった。徹底的に食生活を改めることを決めたのだ。幸いにもカミさんの手術や抗がん剤治療もうまくいき、10ヶ月ほどで退院。今では再発もなくすっかり元気になった。

 カミさんの病気をきっかけに、スパイスとは、治療薬や特効薬のように一度の食事で効果を求めるのではなく、塩や醤油のように毎日の料理に調味料として使うことでこそ効果が表れるものだと再認識すると同時に、そのことを人々に伝えたいと思うようになった。

 スパイスは紀元前から人類の必需品としてあり続けてきた。つまりヒトにとって最も身近で簡単な自然由来の生薬であり調味料ということを歴史が証明している。

 今回は僕の手法のみならず、縁のある各国各人のスパイスの使い方も含め、とにかく簡単でおいしくて、身体に効くレシピを、ところによってはスパイスにまつわるお役立ちエピソードも交えつつ提案させていただこうと思う。

 
以上です。

ついこの間、何を間違えてか、ターメリックが、カレーが認知症を治す!なんて巨大なデタラメが、またもやネット暴走族により広がっていると聞きました。が、そんなわけないだろ!だったらノーベル平和賞ものですよ。

僕がスパジャー本誌やSNSでお伝えしてきたのは、あくまで「ターメリックが認知症予防に効果がある可能性を秘めている」という話です。

まぁ万が一と思って、僕はしばしばスパイスを認知症の母親のために使っているのは事実ですが。

日本人はどうしても過大評価と過小評価を繰り返してしまいます。ショウガが身体にいいと聞いたらそればかり、みたいな。違いますよ、ご注意ください。何事もバランスですから。

本書にはモノによって上限量も記載しています。それはあくまで薬剤師から聞いた量です。スパイスはもっともっと広い世界ですから、もしかしたら記載していないモノの中にも上限の必要のあるものがあるかもしれません。

過信せず、勝手な判断をせず、事実を一つの要素として受容しながら、自分の暮らしの中に上手に取り込んでいってください。

スパイス命じゃない。主役ではないです。
By Spice であり、With Spice ということを、ずっと昔から僕は言い続けてきました。それがわかってくると、これほどに有難い&楽しい第二の調味料はないと思うのです。
 

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